69.三頭の竜像②

「それじゃ、みんなが疑問に思ってることに答えようか」


 廊下へ移動した後、俺は自分の周りに生徒たちを集めた。

 彼らの頭には同じ疑問が浮かんでいるだろう。

 これからその答えについて伝える。


「さっきも言った通り、あの装置は一分もすれば復活してしまう。ただ破壊するだけでは、奥の扉は開かない。ではなぜ開かないのか。理由はこの廊下を少し戻ったところにあるよ」


「どういうことですか?」


「これも見たほうが早いぞ。ローラン」


 俺は彼らを先導して進んできた廊下を戻った。

 この廊下は鏡の部屋から一直線に繋がっていた。それはここにいる全員が確認済みだ。

 しかし――


「道ができてるぞ!」


 そう言ったのはルークだ。

 普段あまりしゃべらない彼が、思わず声を上げるほど驚くべきことだった。

 さっきまで一本しかなかった道に、左右の新たなルートが出現していたのだ。


「最初は俺も驚いたよ。どうやらこの二つの道は、あの部屋に入ったことで解放されるらしい。そしてこの先に、みんなが知りたい答えがあるよ」


 この道の先には、それぞれ同じ部屋がある。

 さっき装置と戦った部屋と、まったく同じ造りの部屋があるんだ。

 全く同じ造り……つまり、同じ装置が展開される部屋だ。


「結論を言うとだな。三つの部屋にある装置を、同時に破壊することが扉を開ける条件らしいんだよ」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 下見でここを訪れたとき、最初の部屋を攻略しても扉は開かなかった。

 一分ぐらいその場で考えていると、また同じ装置が起動した。

 再び戦闘が始まった際、魔術王の眼を使って石造を調べてみた。この眼はあらゆる魔術を読み解くことができる。たとえ初めて見る術式でも、この眼を通せば理解できる。

 装置が魔術によって動いているのならば、この眼で覗けば仕掛けがわかるかもしれない。


「どう? 何かわかったかい?」


「なんだこれ。この装置の術式……扉以外の何かに連動しているみたいだ」


「連動?」


「ああ。この部屋じゃない」


 俺とユノアは一旦戦闘を放棄して廊下に戻った。

 そこで道が増えていることに気付き、同じ部屋があることも知った。


「同じ部屋が三つ。装置もあるみたいだね」


「そうらしいな」


 この時点で考えられるのは三パターン。

 一つ、三つの中で正解の装置は一つしかなく、それを破壊すれば扉が開く。

 二つ、三つの装置を、再起動される前にすべて破壊する。

 三つ、すべての装置を同時に破壊しなくてはならない。

 色々調べた結果、三つ目のパターンが正解だった。

 これも眼を使えばすぐわかったのでは、と思うかもしれないが、魔術王の眼は結局のところ眼なのだ。

 見えなければわからない。

 たとえ連動していたとしても、起動していない術式までは読み取れない。

 ようするに三つ目のパターンが正しいという結論も、消去法に過ぎないのだ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 間違っている可能性もある。

 しかし今のところ、他のパターンは考えらない。

 そして三つ目のパターンだけは、俺とユノアの二人だけでは実行不可能だった。

 もっと弱い装置なら可能だったかもしれないが、さすがはダンジョンの仕掛けと言うべきだろう。


「そういうわけで、これから皆にはさっき見せた装置と戦ってもらう」


「僕たちが……」


「不安そうな顔するな。今のお前たちなら大丈夫だ」


「本当ですか?」


「当たり前だろ。そう思ってなきゃ、ここにお前たちを連れてきてないよ」


 これまでの経験をフルに活用して、いざ竜の石造攻略へ乗り出そう。

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