23.ローラン=ワイズマン

 続いての面談相手は、この国の王子ローランだ。


「よろしくお願いします。先生」


「ああ、よろしく」


 個人的に彼には、色々と確認しておきたいことがあった。

 今日はそれを聞く良い機会だ。


「始める前に質問なんだけど、ローランは俺とユノアのことって、陛下から聞いてたりするのか?」


「はい。以前に危ない所を助けていただいた、命の恩人だと伺っています」


「そっか」


 なるほど、その程度の認識だったか。

 安心した。

 国王のことだから大丈夫だとは思ってたけど、万が一真実を知られていると危険だ。

 俺がというより彼が危険に晒されるかもしれない。


 実を言うと、俺は彼に一度会っている。

 会っていると言ってもすれ違った程度だが、前にこの国を訪れた時だ。

 だけどこの様子じゃ、どうやら憶えていないようだ。

 そこも含めて安心した。


「ありがとう。それじゃさっそく面談に戻ろう。ローランは将来どうなりたい?」


「もちろん、父上のような良き王になりたいと思っています」


 予想通りの回答が帰ってきた。

 彼はこの国の王子、将来は国王になることが決まっている。

 それは良いことでもあるが、縛られているとも感じられる。


「良き王か……具体的にはどんな王になりたい?」


「具体的ですか……そう言われると難しいですね」


 少し意地悪な質問だったかな。

 どんな王になりたいか。

 良き王、父のような王と言っても、より深く追求していくとわからなくなる。

 その理由は、彼がまだ王というものを理解していないからだ。


「じゃあさ。この国は好きか?」


「もちろんですよ!」


「そうか、俺も好きだ。じゃあどんな所が好きなんだ?」


「そうでうね。たくさんの種族が助け合って笑い合って……自由に生活している所です。それはこの国にしかない良さだと思います」


「そうか……そうだな、その通りだよ」


 良かった。

 彼はよくわかっている。

 この国の良さを理解している。

 それは王になる者として、絶対に知っておかなければならないことだ。

 自国の良さを理解できない王が、良き王であるはずがない。


「それはわかってるなら大丈夫だ。後はそうだな、陛下を目標にするなら、陛下と自分を比べて足りないものが何なのか知るといい」


「足りないもの……ですか。たくさんあると思いますが」


「そりゃそうだ。だけどそれを知っていけば、良き王ってやつもわかってくる。足りないものを補っていけば、必ずそこにたどり着ける」


 すぐ近くに目標とする人がいる。

 これは他に変えがたい幸福だということを知るべきだ。


「王とは何か、それを卒業までに知っていくんだ。わかったら俺に教えてくれ」


「はい! 憶えておきます」


 さぁ頑張ってくれよ。

 この国の未来はお前にかかっているんだから。

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