18.レッツ鬼ごっこ!

 ユノアが合流した所で、改めて説明を始めた。


「ルールは簡単。制限時間内に、俺とユノアを捕まえられたらお前達の勝ちだ。制限時間は一時間。範囲は――」


 パンッと手を叩く。

 すると半透明の膜がドーム状に森を覆った。


「この結界内だ」


「すごい。結界が一瞬で出来ちゃったよ」


「これくらい慣れれば簡単だ」


「わたしにも出来るかな?」


「練習すればな。俺達に勝ったら、特別講義でも開いて教えてあげるよ」


「ほんとに? じゃあ頑張らなきゃ!」


 レノアはそう言って握りこぶしをぐっと作った。

 他の生徒達もやる気が増したようだ。


「あっ、そうだ言い忘れてたけど、魔術の使用は基本NGだ。怪我しないように、肉体強化系なら使ってもいいけど」


「協力はしてもいいのでしょうか?」


「もちろんだ、ラミリス。生徒間で連絡を取り合ってもいい。この森の地形も上手く使ってくれ。でも無闇に破壊したりは止めてくれよ」


 一応学校の私有地だからな。

 あんまり破壊すると俺が後で怒られる。


「それと最後にもう一つ。ユノア、もってきてくれた?」


「うん」


 ユノアは金属の手錠を取り出した。

 それを俺の左手に付け、反対を自分の右手に装着した。


「俺達はこの状態で逃げる」


「えっ、それってハンデってことですか?」


「そうだよ、ユーリ。お前達は、俺とユノアのどちらかに触れれば良い」


「そんなの楽勝じゃん!」


 イズキが自信満々にそう口にした。

 俺はニヤリと笑い、小さな声で「それはどうかな」と呟いた。


「じゃあさっそく始めようか。みんな準備はいいか?」


「おう!!」


「よし! 俺達は先に行くから、お前達は一分後に動き始めてくれ。くれぐれも無茶しないようにな。行こうかユノア」


「うん。みんな頑張ってね」


 ユノアは他人事のようにエールを送った。

 そして俺達は先にその場を去った。

 結界の範囲は半径一キロメートル。基本的には木々が生い茂っていて、特定の場所には大きな岩や川も流れている。

 鬼側十二人に対して、逃げる側は二人。しかも手錠で互いの行動範囲を制限されている。全員で連携し、地形も上手く使えば捕まえるのは簡単。

 生徒達はそう考えていた。


「十分もあれば余裕だろ!」


 余裕を見せるイズキ。

 

 三十分後――


「全然捕まんねぇ!!」


 彼の表情と態度が一気に変わっていた。

 開始から半分が過ぎたというのに、未だ捕まえられていない。

 それどころか、一度も惜しい所まですらいっていないのだ。


「どうなってんだよ。向こうは手錠付けてんのに、速過ぎるだろうが」


「馬鹿イズキ、そこだけじゃないわ」


「あ?」


「先生たち、ずっと止まらずに走り続けてる」


「そういや……一回も止まったところ見てねぇ」


 特別なことはしていない。

 普通に走り回って逃げているだけだ。

 ただし彼らが気付いたように、俺とユノアは一切立ち止まっていない。

 対して生徒達は、見失えば立ち止まり、休憩を挟みながら追っている。

 それでも息絶え絶えの状態。額からは汗を流している。


「とにかく、このままじゃ駄目だ。一旦みんなで集まろうぜ」 


「そうね」


 イズキの提案で、生徒達は連絡を取り合い集合した。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます