17.屋外授業を始めます

 魔術学校では日々授業が行われている。

 基礎に始り実戦まで、魔術師として学ぶことはたくさんある。

 使い魔召喚から数日が経った今日、Aクラスの面々はとある山へ訪れていた。


「みんな昨日伝えた通り、ちゃんと動きやすい格好できたな?」


「「はい!!」」


「よし! いい返事だ」


 ここはアルステイン王国内にある山で、魔術学校が管理する野外訓練場の一つである。

 学校からは十キロ以上離れており、移動には専用の転移ゲートを使用する。

 なぜこんな場所に訪れているかというと――


「さて、みんな数日後には実技授業が始ることは知ってるな?」


 生徒達はそれぞれ頷いて反応した。

 アルステイン魔術学校では、大きく分けて二つの授業形式が存在する。

 一つは黒板や紙とペンを用いるような座学式。もう一つが、魔術を実際に使う実技式である。

 例年通りに授業が進めば、一ヶ月間基礎知識を座学で身につけた後、少しずつ実技授業を増やしていく。さらに進めば、研究や実戦訓練なども行うことになる。


「今日は実技授業に備えて、いくつか確認したいことがあって来たんだ。言い換えれば予行演習みたいなものかな」


「はい! クロ先生!」


 レノアが手を挙げた。


「なんだ?」


「確認したいことってなんですか?」


「それは、この授業が終わる頃に教えるよ」


「えぇ~」


「えぇ~とか言うなって。先に口で説明するより、体感した方が早いんだよ」


「はーい」


 あの返事は納得してないな。

 まぁ教えても良かったんだけど、自分達で先に気付いてほしいことなんだよ。


「クロ先生」


「なんだ? ユーリ」


「今からなにをするのかは教えてもらえるんですか?」


「もちろん」


 ユーリはほっとしたような顔をした。

 俺はおほんと咳払いをしてから、改まって生徒達に言った。


「これから皆には、この森で【鬼ごっこ】をしてもらう」


「「鬼ごっこ??」」


 生徒達は声をハモらせて首を傾げた。


「あれ……鬼ごっこって遊びしらない?」


「オイラは知ってるぞ! 逃げる側と捕まえる側に別れて遊ぶやつだろ?」


「あーそれならオレも知ってるぜ。そんな名前じゃなかったけど」


 イズキとミズキの場合は、本物の鬼だしごっこじゃないもんな。

 二人はなんて呼んでたのかな。

 今度聞いてみよう。


「他のみんなも知ってるか?」


 発言した二人以外の生徒達も、頷いたり手を挙げたりして返答した。

 どうやら全員知っているようだ。


「先生が鬼で、ぼく達が逃げる側でしょうか」


「残念トール、その逆だ。お前達全員で、俺達を捕まえてもらう」


「僕たち全員で先生を?」


「それより今、俺達と聞えたが……」


 ローランがそこに気付いた。

 そして疑問の答えがすぐに現れた。


「そう、ボク達だよ」


「ユノア先生!」


 俺の背後から、ユノアがひょっこり顔を出した。


「俺がお願いしたんだ。手伝って欲しいってな」


「みんなよろしくね」


 初めての屋外授業は、Aクラス総出で行われることになった。

 

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