16.生徒達の使い魔②

 現在までレノア、ミシェル、ローラン、トールの四名が召喚を終えた。

 まだ残り八名残っており、時間がどんどん経過している。


「結構ギリギリだな。ちょっとペース速めるぞ!」


「次はオイラの番だな!」


 ドワーフのゴルドが飛び出してきた。

 彼は瞳を無邪気に輝かせて詠唱を始めた。

 召喚陣が光を放ち、小さな粒子が飛び交いだす。

 粒子は陣の一点に集まり、可愛らしい小人の少女へと変化した。


「ひ、人が出てきたぞ!」


「いや人じゃないぞ。コロポックルっていう大地を司る存在だ」


「コロポックル……聞いたことはあるぞ!」


「どちらかというと、精霊に近い存在だな。言葉は話せないが、知能は人間以上だ。一緒にいる人間に大地の加護や知恵を与えてくれるよ」


 ただ加護を受けるには、信頼を得る必要があるんだけど。


「オイラと一緒でちっこいな! これからよろしく!」


 差し出されたゴルドの手に、コロポックルはニコッと笑ってから握り返した。

 彼の表情や雰囲気から、善良な心を感じとったようだ。

 どうやら心配はいらないみたいだ。


「じゃあ次、イズキ!」


「俺の番か。どうせなら俺も、ウルフみたいにカッコ良いのが来て欲しいぜ」


「さてどうかな」


 イズキは詠唱を口にした。

 そうして召喚陣から現れたのは、身の丈よりも巨大なトラだった。


「でっけぇ!」


「サーベルタイガー。トラの中では最強と呼ばれている種類だな」


 剣歯と呼ばれるサーベル上になった歯が特徴だ。

 特別な能力は備わっていないものの、獲物を狩る力は魔物に劣らない。


「最強……オレにぴったりじゃねぇか!」


「良かったわね。次私の番だからどいて」


「って、なんにんだミズキ!」


「はいはい喧嘩しない」

 

 この二人はいつも喧嘩ばっかりだな。

 ブーブー言うイズキを無視して、ミズキは詠唱を始めた。

 そして召喚陣から、サーベルタイガーと同じ大きさの鳥が現れた。


「アルゲンタヴィス、史上最大の鳥類」


 凛々しい顔立ちに獰猛な爪を有している。

 サーベルタイガー同様、狩りの力は恐ろしく強い。


「ちっ、もっとショボいの来いよ」


 なんていう声がイズキから聞えたが、ミズキは無視していた。

 続いてルークの番になる。

 前の二人と違い、彼は淡々と召喚を済ませた。

 彼の使い魔となったのはワイバーンだった。それも漆黒のワイバーンだ。


「珍しい色だな」


「そうなんですか……」


 ルークはなにか言いたそうだったが、結局なにも言わなかった。

 彼の次はネロだ。

 彼女の使い魔は、彼女らしい相棒だった。


「可愛い~」


 しっぽが二本ある猫。猫又と呼ばれる幻獣で、大きさは普通の猫と同じくらい。相手を惑わせたり、運命を狂わせる力を持っているとされる。


「あらあら、もう私の番ですね」


 次はアイーシャだ。

 彼女の気品溢れる姿は、召喚される使い魔にも影響したのだろう。

 テンコと呼ばれる雷を統べるキツネが召喚された。

 雷のように白い毛並みは、主に合った高貴さを感じさせる。


 そして次がラミリス。エルフの少女だ。

 彼女の使い魔は、カマイタチという風を操る力を持ったイタチだ。

 召喚されてすぐ、彼女の肩に飛び乗った。


「これからよろしく」


 最後はユーリだ。

 見た目は普通だが精霊使いの彼女。

 その性質を映し出したのか、召喚されたのは普通の犬。というか柴犬だった。


「可愛いけど、なんだか複雑な気分です……」


「いやこいつ、ただの柴犬じゃないぞ! 内に膨大な魔力を秘めてる」


「えっ、そ、そうなんですか?」


 召喚されたのは普通の柴犬ではなかった。

 これは後で調べてわかったことなのだが、ユーリの召喚した柴犬は、大気から得られるエネルギーを魔力に変換し、それを主人へ譲渡する力を持っていた。

 能力だけ見ればチート級――なのだが……。


「見た目は普通だな」


「ですよね……」


 ユーリは複雑な表情をしていた。

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