15.生徒達の使い魔①

 現れた使い魔に驚く生徒達。

 これでは先に進めないので、強引に話を戻すことにした。


「と、とにかくみんなの使い魔を召喚しよう。順番は――自己紹介した順でいいかな。おいで、レノア」


「えぇ! ちょっちょっと待ってください。心の準備がまだ」


「なんだよ準備って、そんなことしたって召喚できる使い魔は変わらないぞ。媒介をもってるなら別だけどな」


 召喚される使い魔は、術者に縁のもの、もしくは相性の良いものが選ばれる。

 召喚対象を限定したい場合、媒介となる物が必要だ。

 今回は急だったし、媒介は誰も用意していない。

 つまり召喚されるのは、術者と相性の良い使い魔だ。

 それは心の持ちようで変わることは無い。


「召喚陣に魔力を通せ。それからこう詠唱するんだ」


 我は汝を統べる者――我は汝を導く者――我は汝を欲する者。

 我は汝に対価を支払う。故に、この契約に応じるならば、我が呼びかけに応えよ。

 契約の導に従い――我が元に来たれ! 

 

「召喚陣が……」


 レノアが詠唱を終えると、地面に書かれた召喚陣が光り始めた。

 光は一つにまとまり、やがて形を成す。

 強靭な顎を持ち、大きな翼を羽ばたかせる。


「おめでとう。君の使い魔はレッドドラゴンだ」


「す……すげぇぇぇぇぇぇえええぇぇぇえ」


 生徒達は歓喜で沸きあがった。

 俺もまさか、いきなりドラゴンが召喚されるなんて思っていなかった。だからとても驚いている。

 いや、一番驚いているのは本人かな。

 喜ぶ間もなく呆けているようだ。


「大きさからして、まだ子供だな」


「せ、先生……これ……」

 

 戸惑うレノアの頭に、俺はやさしく手をのせた。


「成長すればもっと大きくなる。俺も手伝ってやるから、しっかり育てるんだぞ」


「は、はい!」


「よし! さぁ、時間も限られてるんだ。どんどん召喚するぞ!」


 次に召喚陣を起動させたのはミシェルだ。

 再び光りだした召喚陣は、水のように液体を生み出し、その液体が一つにまとまっていく。

 最終的に青いイルカへと変化した。


「アクアドルフィンか。珍しいのが出たな」


 アクアドルフィンは幻獣の一種。

 水を司る獣で、身体のほとんどが水で出来ている。

 本来のイルカ同様、超音波を用いて周囲の状況を把握できたりもする。


「よ、よろしく……」


 続いては王子ローランの番だ。

 彼が召喚した使い魔は、白い毛並みのオオカミだった。


「ホワイトウルフ。光を司るオオカミだな」


「光の獣か。よろしくな」


 次はローランの付き人トールの番だ。

 召喚する直前、付き人の自分に使い魔なんてと尻込む様子があったが……。


「僕を守るつもりなら、まず自分を守れるようになれ!」


 ローランに文字通り背中を押されて召喚に臨んだ。

 そうして召喚されたのは、三つの足をもつカラスだった。


「ヤタガラスか。物や人物に変身する力があるぞ」


 その後も召喚を続けた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます