7.アルステイン魔術学校

 アルステイン王国。

 総人口三十万人、ルグドニア王国の東に位置する小国である。

 他種族共存を唱えている珍しい国家で、国民の半数以上が人類種ではない。

 国王の名はリガルド=ワイズマン。幼い日に父を病で亡くし、若干十五歳で国王となった。

 それから二十年以上、王としてこの国を支えており、穏やかで好意的な人柄から、国民の支持も厚い。


 ここアルステイン王国には、魔術師を育成する施設が設けられている。

 その名もアルステイン魔術学校。創設から百年を超える由緒正しい学び舎で、今日は第一〇五期生の入学式が執り行われている。

 今年の入学者は一〇七名。入学者は試験の成績順に四つのクラスへ分けられる。

 もっとも成績が良かった十ニ名は、特待のAクラスへ配属される。


「新入生の諸君。まずは入学おめでとう――」


 入学式に壇上で話しているのが、校長のロバート=デイガルク。

 元魔術師団所属のエリート魔術師で、現在は魔術師団の指導役も兼任している。

 鼻の下に髭を生やしているが、あれは付け髭らしい。

 なんでも素の顔は優しすぎて、みんなから笑われてしまうからだそうだ。


「――では、良き魔術師になることを期待している」


 校長の話が終わり、続いて国王リガルドの話が始まった。

 それが終わると各クラスに分かれてオリエンテーションが行われる。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 Aクラスの教室に、今年の新入生が集まっていた。

 男五人、女七人の計十ニ人が、指定された席に座って話している。

 この学校には中等部もあるらしく、どうやら皆顔見知りのようだ。


「ねぇねぇ聞いた? あたし達の担任って、今年から入った新人教師なんだって」


「そうらしいねぇ~ どんな人なのかなぁ~」


「噂だと、国王陛下が推薦した人らしいですよ」


「へぇ~ ってことはすごい人なんだな」


「まっ、オレ達の担任になるんだし。ある程度優秀な魔術師じゃないと困るけど」


「なにその上から目線。キモッ」


「なっ、なんだとてめぇ!!」


「まぁまぁ落ち着いて」


「あらあら。二人とも相変わらず仲良しねぇー」


「「良くない!!」」


「息ピッタリじゃん」


 談笑が聞える教室に、ガラガラという扉の開く音が聞えた。

 その音を合図に、騒いでいた生徒達がパタンと静かになり、自分達の席に戻った。

 生徒達の視線が一箇所に集まる。

 扉を開けて入ってきたのは、担任教師と副担任だった。


「みんないるな?」


 担任教師が壇上に立って見渡す。

 席には新入生十ニ人がきちんと座っている。


「初めまして。今日からお前達の担任になるだ。それで隣が」


「副担任のユノアです。こんな服装だけど、一応女性ですよ」


 Aクラスの担任として登場したのは、英雄クロトとユノアだった。

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