4.魔神を討伐して

 二人で旅を続けていくうちに、魔神について様々なことがわかった。

 まず、魔神は元人間だった。

 辺境の街で育った領主の息子が、突然変貌して魔神になったらしい。

 経緯も方法も一切不明だが、これは間違いない事実だった。


 そして魔神の目的は、すべての国を滅ぼすことにあるようだ。

 これは仮説でしかないが、すでに半数の国が崩壊している事実から、ほぼ間違いないだろうと思われる。

 それらのことが解ってきた頃、魔神が次に現れる国を予測できるようになった。


 世界最大の国ルグドニア。

 次に魔神が現れる可能性が一番高い国だった。

 俺とユノアは急いでルグドニアに向かった。


 到着した時には、すでに魔神が出現して街を襲っていた。

 地面には勇敢に戦った兵士達が転がっている。

 初めて生で見た魔神は、とてもおぞましく恐ろしかった。

 本当にこの世の存在とは思えないほど、どす黒い魔力を放っていた。

 それでも俺達は、意を決して戦いを挑んだ。


 戦闘開始から二時間後。なんとか撃退することに成功した。

 予想以上の強さだった。

 俺一人では確実に負けていただろう。

 撃退できたのは、ユノアが一緒に戦ってくれたからだ。


「我が国で支援します。どうか魔神討伐に助力をいただけないだろうか」


 魔神を撃退した後、国王が縋るように懇願してきた。

 元々それが目的だったから、俺達は快く承諾した。

 それから王国の支援のもと、魔神を討伐するため旅を再開した。

 とは言っても、これまでとやることは変わらない。

 魔神の痕跡を探り、次に現れる場所を予想する。ただ今回の件で各国の協力が得られ、以前より痕跡探しがスムーズになった。


 そうして俺達は、遂に魔神が潜伏する場所をつきとめた。

 場所は魔神が誕生し、最初に滅ぼした街だった。

 激しい戦いが繰り広げられた。

 俺もユノアも、文字通り決死の覚悟で挑んだ。


 そして、魔神は討伐された。

 皮肉にも自分が人間だった場所で最後を迎えたのだ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 討伐を終えた後、ルグドニア王国へ報告に戻ることになっていた。

 ただユノアは、一旦故郷の国へ戻ると言い出した。

 元々魔神討伐が終わったら、そうする予定だった。

 旅の途中で必要な準備は整っている。

 今なら国を、故郷を取り戻せるかもしれない。


「報告が終わった遊びにきてよ。君ならいつだって大歓迎だから」


「ああ。必ず行くよ」


 こうして俺達は一旦別れた。

 これまで一緒に旅をしていた分、一人ぼっちの帰り道は寂しく感じられた。


「早く報告を済ませよう」


 俺は急ぎ足でルグドニア王国に向かった。

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