G03-07
4機の『バイオメタルドール』が攻撃をしかけてくる。しかし、本庄卓也(ほんじょうたくや)と山下愛(やましためぐ)にとっては、まるで子供の遊び相手をしているようだった。簡単に受け、かわせた。
「どうなってるんだ。八木(やぎ)先輩も、近藤(こんどう)先輩もまるでスローモーションみたいだ。摸擬戦で戦った時はまるで歯が立たなかったのに」
「こっちもそう。栞(しおり)も未来(みらい)も。みんなが弱いんじゃなくて私たちが強くなったんじゃないの」
「逃げるぞ。メグ」
「うん」
4機の『バイオメタルドール』が脚に向けて日本刀を振った時、本庄卓也はそれをかわしてジャンプした。
空中で剣をしまい、アーケードの鉄骨に飛びつく。そのままの勢いで回転しながら天井を蹴り破って屋根にのぼる。商店や民家の屋根を飛び跳ねながら逃げた。
「俺たちの体はどうなっちまったんだ」
「多分、『カイラギ』と融合していると思う」
「俺たち、人間に戻れるのかな」
「わからない」
「戻ったとしても・・・。俺、仲間のBMDや街の人たちを・・・」
「うん」
「頭がおかしくなりそうだ」
「大丈夫。私も一緒だよ」
「このままだれもいないところまで逃げるか」
「私さ。人間の心があるうちに終わりたい」
「・・・。そうだな」
「栞(しおり)に悪いことしちゃった」
「・・・」
「卓也と一緒になれて良かった」
「うん」
「楽しかったね。学校。最後に学校を見たいな」
「そうだな。みんな避難しているだろうけど。あそこなら広いし、まわりに迷惑をかけずに終わりにできる」
本庄卓也は屋根から飛び降り、丘の上の柊木中学校へと続く一本道を走った。毎朝、登校するときに見るなつかしい光景が広がる。
「メグはいつも俺の後ろを歩いてたろ」
「バレてた。やっぱり」
「うん。うれしかった」
「うそつき。卓也は栞が好きなんでしょ」
「・・・。うん」
「もう。こんな時くらい、うそついてよ」
「・・・」
「無神経でガサツなんだよね。卓也は」
「正直って言えよ」
「バカ」
「メグと一緒になれて良かった」
「ありがとう」
中学校の校門が見えてきた。本庄卓也は山下愛を背中に感じながら走った。
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