34話:作戦会議は悪友と PART3
起き上がった琥珀が、ぽんぽん、と夏彦の肩を叩く。
さらには、すっごく真面目な顔でサムズアップ。
「いいカッコすんな。デートには、ありのままのダサい格好で
「~~~~っ! それが最適解みたいなのが腹立つ!」
「それが最適解やで」とニッコリする琥珀に、いくら温厚な夏彦でも立ち上がらずにはいられない。
「テレフォン!」
「あん?」
「優秀なイケメンにテレフォンを使う!」
誰に電話するか、琥珀は聞く必要がない。
優秀なイケメン=草次
2人にとっての共通認識である。
クローゼット前からテーブル付近へと座り直した夏彦は、スマホを取り出してアドレス帳から草次を検索。
あとは電話番号をタップするだけなのだが、夏彦の指が止まってしまう。
そして、初めて喋る間柄でもないのに、1つ2つと深呼吸。
おまけに、テレビ電話するわけでもないのに、前髪を気にしたり、襟元を正したり。
「??? ナツ、何をそないに、かしこまっとん?」
「いや……。よくよく考えたら、草次に電話するのって初めてだから緊張しちゃって……」
「お前は、好きな男子に電話する乙女か」
江戸っ子気質な関西女、再び夏彦のもとへとゴロゴロ。
今回はスピードを緩めるのも面倒だと、そのままダイレクトアタック。
「ぐおっ……!」と夏彦は声を上げるがダメージ0。
それもそのはず、相も変わらず露出過多な悪友の『巨乳』という名のエアバックは、いかなる衝撃も吸収してしまうクッション性を兼ね備えているから。
自分の膝元に乳をめり込ませている悪友に、夏彦は顔を真っ赤にして非難。
「な、何でお前は羞恥心が無いんだよ!」
「恥じらいながら、突っ込んでくる奴のがヤバない?」
「自分がヤバい自覚はあるのか……」と言葉を漏らす夏彦だが、琥珀としては気にする素振りもなく。
「そんなことより、はよ電話せんかい」
にゅっ、と手を伸ばした琥珀は、そそくさとスマホ画面の通話ボタン、ちゃっかりスピーカーボタンもタップする。
「あっ」と夏彦が声を出す頃には、時すでに遅し。3コールもすれば、相手側が電話に出てしまう。
夏彦ド緊張。
「も、もしもし!」
『はーい』
「…………。……あれ?」
夏彦が首を傾げてしまうのも無理はない。聞き慣れた草次の声ではなく、少し間延びした穏やかな女性の声が耳に入って来たから。
聞き慣れてはいない。けれど、聞き覚えがあった。
それは向こうも同じようで、スマホ画面から名前を確認したのだろう。
『夏彦君って、そーちゃんと仲良くしてくれてる子だよね?』
「……。えっと……。もしかして、草次の彼女さん?」
恐る恐るの夏彦とは対照的。草次の彼女は声音を弾ませ、
『ピンポーン♪ そーちゃんの彼女兼幼なじみの、
予想外な事態に、夏彦てんやわんや。電話越しにも伝わるんじゃないかというレベルでビシッ! と背筋を伸ばし、「ど、どもですっ!」とヘコヘコと高速お辞儀を繰り返す。
『いつもそーちゃんと仲良くしてくれて、ありがとね』
「いえいえっ、とんでもない! むしろコッチのほうが、そーちゃ――、草次のお世話になりっぱなしなんで。というか、今もお世話になりたいから電話した次第でして……」
『あっ、だから電話してくれたんだ。ゴメンね、そーちゃん別の部屋にいたから、ついつい私が出ちゃったの』
『ちょっとスマホ届けてくるから待っててねー』と草次の彼女がご丁寧に保留モードにしてくれれば、夏彦も一瞬で湧き出た額の汗をひと拭い。
「ふーぅ……、いきなりすぎて緊張したぁ……」
夏彦が深く息を吐き出せば、琥珀も負けじと息を吐く。
鼻から浅く。
「友達ん
「ふ、不意打ちで頭真っ白になったんだから仕方ないだろ! 琥珀だってあるだろ? 麦茶だと思って飲んだらエリクサー飲んじゃったみたいなの!」
「しいたけの煮汁に例えないあたりが、ナツの優しさと
「ほっとけ!」
『お前らは何を騒いでんだよ……』
「草次!」
先程までの緊張は何処へやら。
待ちわびたイケメンの声に、夏彦は恋する乙女どころか、ヒーロー登場に安堵するモブキャラ状態。
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次話は明日か明後日くらいに投稿しますー。
【雑談】
作品ごとのファイルを整理していて、当たり前ですが、ターゲットとしている読者さんが結構異なるなぁとしみじみ。
‐その①‐
『俺の青春を生け贄に、彼女の前髪をオープン』
読者ターゲット:ニコ生、Youtube、ゲーム実況などが好きな人
‐その②‐
『お前ら、おひとり様の俺のこと好きすぎだろ。』
読者のターゲット:独り好き、ぼっち、ソロ充な人
‐その③‐
『おっぱい揉みたい~』
読者のターゲット:おっぱいが好きな人
その③のターゲット層がクソ雑。
おっぱい好きのターゲット層は、ブックマーク&評価よろしくどうぞʅ(◔౪◔ ) ʃ
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