第45話
空き教室で園芸部の集まりである。アンケート用紙が配られて書いて下さいとのこと。わたしは渋々書くのであった。色々質問項目があるがイジメや暴力の調査らしい。今となっては伝説だが体育会系の部が裏山に連れ込んで集団リンチがあったらしい。
三十年、四十年前の伝説である。相互監視社会も息がつまるが伝説とは言え怖い話である。だいたい、園芸部で暴力の調査が行われるのも謎だ。それで、最近はわたしも協調性なる言葉を覚えた。
で……当たり障りのない文章の書き方が分からない。わたしには簡単な文章にまとめるのは大問題であった。
『部長は良くしてくれるわ』で終わりと……。
自分で書いていてクエッションマークの付いた文書になった。書き終わると花に水をあげて解散であった。ぬるい部活だと改めて思う。さて、お花に水のやり方を覚えたのでお屋敷の庭にある草花に水をあげようと思う。いつもは夏が手入れしているので携帯にメッセージを送る。
『今日はわたしがお水をあげるわ』
夏から返事が来ない。どうやら、省略し過ぎたらしい。これも文面に困る。
今日は作文のテストなのかと疑問に思うほどだ。まてよ……。携帯で明日の天気予報を調べると雨である。今日の水やりは止めて、帰ったらくつろぐことにした。わたしは帰り道にてポテチを買うのである。黄昏がわたしの影を長くしていた。園芸部の活動が思いの外に時間を取られた。
早く帰るか……。
これではポテチを食べる時間がない。それでも園芸部の活動は楽しいのである。
『部活は楽しくてよ』
アンケートにこのように書けばよかったのかと考えるのであった。
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