第78話 対決(予定)
センスのいいステキなドレスか、一目で分かる教師のスーツの様なドレス。
バラの総刺繍で、純白のキースレースをふんだんに使った豪華なドレス。
かたや、大人びたデザインだけど、デザイン的には上品なスーツかぁ。
ん~~どちらも捨てがたいわね……。
じゃ、ないでしょ!?
私を試している。
いや、最終確認と言う訳か。
いいわルイ―ザ、受けて立とうじゃ無いの。
「分かり切っているでしょ。
当然…、そちらの………。」
「どちらでございますか?」
「だから!
そっちの……。」
ドレスを選べば、真っ向からお母様と対決すると言う事。
スーツを選べば逃げ。
きっとそうなんだろう。
今の私にその覚悟が有るの?
お母様に立ち向かう覚悟が……。
怒ってるだろうな…きっと………。
て、それって私の方が悪いっての前提でしょう。
何ビビってるのよ私。
おうさっ!会ってやろうじゃないの。
正々堂々と。
と言う訳で、今はびっちりと着込んだ豪華なドレス姿。
「まぁ、よくお似合いですわ。」
「そう、誰が見立てたのか知らないけど、
かなりの目利きね。
このドレスと言い、コーディネイトしたアクセサリーといい。」
「まぁ、ジュリエッタ様にそう認められて光栄です。
私も久々に、思い切り腕をふるえて楽しかったですわ。」
なるほど、この力作はあなたの仕業でしたか。
さて、対決すると決めた以上、対策を練らなくては。
急な状況に対応できないのはいつもの事だから、
優位に立つためにはどうすればいい?
だ・か・ら、お母様達の方が分が悪いからその点は大丈夫。
大丈夫のはず……。
「大丈夫よね。」
そう自分に言い聞かせ、私はお母様達の到着を待った。
どうすればいいかなどを考え、未だに足掻きつつ。
とにかくお母様達に心配をかけたのは確かだ。
私だって近しいものが、何も言わずに突然いなくなったなら
腹立たしいし、悲しい。
だからまずは謝ろう。
詳しい話はそれからだ。
お母様を待つ時間は長かったような、短かったような。
窓辺に隠れるように、外の様子を伺い、
部屋の中をウロウロし、ここなら隠れられるわとクローゼットを開けたり。
そこで見つけたスーツに、何度着替えたいと言う誘惑にかられた事か。
「ジュリエッタ様、いい加減に落ち着いて下さいませ!」
ルイ―ザに怒られた…。
その時、ガラガラと馬車の音が近づいて来る。
いよいよかと私はそっと窓辺に行き、それを確認した。
「あれは我が家の馬車では無いわ。
こんな日にお客様かしら。」
そう思いホッとする。
我が家の馬車はもう少し小さくて、色も違う。
一体誰が来たんだろうと、
身を乗り出し、馬車の中を何とか覗こうとしたが、見える訳が無い。
まあ私に関わるお客様がここに来る訳ないか。
とにかく私はお母様達の到着を待つしかない。
それから暫くして、また馬車の音。
どうやら先ほどの馬車が帰っていくようだ。
「お母様がいらっしゃる前に、おじい様のご用が済んでよかったわ。」
お母様とお客様がダブルブッキングしたなら、
さぞやおじい様も大変だっただろう。
コンコンと扉を叩く音。
まさか私が知らない間に、お母様が到着したの!?
「ちょ、ちょっとお待ちください!」
慌てちゃいけない。
リラックス、心を落ち着けて。
「落ち着いて下さいませジュリエッタ様。
私が付いております。
何か有りましたら、私があなたをお守りしますから。」
そう…ね。
あなたなら、もし私にお母様のビンタが飛んできたりしたら、
きっと身を挺して守るか、反撃に出そうな気がする。
「お待たせしました。
どうぞお入りくださいませ。」
ドキドキしながら待っていると、
入って来たのはおじい様だった。
「おじい様…。」
いや、おじい様の屋敷だもの、おじい様が来るのは当たり前だけど、
緊張しまくりの私は、何と無く拍子抜けした。
「お母様達は、まだいらっしゃらないのですね。
もしかしたら、もう今日は来ないのかしら。」
「いや、あれは来ない。
と言うか帰ったよ。」
「え?」
帰った?
先ほどの馬車が頭に浮かぶ。
「もしかして、先ほどの茶色の馬車ですか?
でも今まで我が家にはあんな馬車無かった…。」
「お前を探し回る為、新しく購入したんだ。
どうやらお前の母親は、娘の情報が欲しくて走り回っているようだが、
先ほどここでお前を見つけ、私に食って掛かってきた。
ジュリエッタがここに居る事を、なぜ教えてくれなかったとな。」
お母様……。
まだそんな自己中をしているのですか。
「まあ、そう言われると思っていたが、
わしとしては、サプライズのつもりだったからな。」
「でも、お母様はなぜ私に会わずに帰ったのでしょう。」
「お前に合わす顔が無いと、
お前の無事さえ確認できたなら、それでいいと言い帰った。」
「そんな……。」
それじゃあ私の気持ちは、
今までの努力はどうしてくれるのよ。
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