第五話 メインVS神階

「くそ!敵が早すぎて攻撃どころじゃない……」

「アルナ!テリアル瑞希セイバー!敵の注意をひくぞ!」

「でもどうやって?」

「そんなの決まってんだろ!空中にできる限りの魔力を打て!」


劍の言葉を聞いた瞬間、その言葉に答えるより先に体が動くヒロイン達。

アルナは浮遊魔法を使い、素早さでは圧倒的に劣っているが、神階の1人を追いかける。

テリアルも浮遊魔法を使うと、マテリアル・フェアリア軍の中心に移動し、最大火力の技を連発し、敵を引きつけようとする。

瑞希セイバーはそのまま走り出し、敵が地面に足を着いた瞬間を狙い、神審輝稀アスカロンを使い攻撃しようとする。

それを見ていた他の皓階や白階も応戦し、神階に攻撃する。


「雑魚が、俺らはお前らみたいな雑魚じゃねぇーんだよ」

「あそこにいる女邪魔だから先に倒してくる。ミルフィスここは任せた」

「あぁ、任せとけ」


ミルフィスに雑魚処理を任せたゼフィンは音速を超えるスピードでアルナの元に移動する。



さぁ、お前ら下界共は俺をどこまで楽しませてくれるのか楽しみだぞ。

まずはそこの女からだ……


こうしてゼフィンの攻撃が始まる。


「久しぶりにこの武器を使うな……靁神天ゴルゴトス。お前の力を見せてくれ!迅刄熟圧ソッカイジュアツ!」

「私を倒すだと?お前は私の友を殺した……私はそんな奴に負ける気などしない!!」


アルナはゼフィンの攻撃で無数の刃が向かってくるがそれを全て避け、ゼフィンよりスピードは劣るが全速力でゼフィンに向かって近接攻撃で確実にダメージを与えようとする。


「どんな神でも、直接体にダメージが行けば少しは怯むだろうな!!」

「やってみろよ?」


自信満々でアルナの攻撃を受けようとするゼフィン

アルナは調子に乗っているゼフィンに怒りが増し本気で戦う時よりも、仲間が死んだ時に敵討ちで敵を倒す力の方が上だと感覚で分かった。



私は勝つ……

だって、私は約束したんだ。

どんなに辛い時でも諦めずひたすら前に進むと。

その先にあるものはきっと美しいものだと……


「はぁぁぁぁ!!!!静の疑 五階 去勢恬淡きょせいてんたん!」


アルナはゼフィンの横腹に、普通の人間なら体がバラバラになるほどの威力がある静の疑を繰り出す。

だが、ゼフィンはそれを避けずに受け止める。

すると、さすがに効いたのかゼフィンはその場に立ち止まり少しずつ浮遊魔法が溶けていっているのか分からないが、少しずつ降下していっている。



やったか……

あの攻撃だ。

即死でない事には少し疑問にも思えるが、ダメージがだいぶ効いていて安心だ。


だが、それは浅はかな考えだった。

ゼフィンはそのまま地面まで結局降下し、倒れる。

だがすぐにゼフィンは立ち上がったのである。

そしてゼフィンが言った一言はこうだ。


「お前は仲間を殺されて俺を殺したいと思ったのか?俺はな、そういう奴が1番嫌いなんだよ」


近くにいた兵士やもちろんアルナもその言葉に驚き、ゼフィンが生きている事にも驚く。

周りの兵士はそのゼフィンを見て、足がすくみ倒れ込む兵士達。


「な、なぜ生きてる?あの技を喰らいながらなぜ生きている!?」

「俺は神階だ……お前らを殺すんだよ!!!!!!」


ゼフィンは体から魔力の様な物が溢れでる。

周りにいた兵士たちはその魔力に圧倒されたのか次々と倒れていく。


「一体何が起こってるんだ……」

「貴様、名を名乗れ」

「なぜ、貴様に名乗らないと行けないのだ!名乗る名など、ない!!」

「あぁ、そうか。ならいい、死ね。滅死神ジ・ディド


ゼフィンが技を出した瞬間、周りの空気は変わる。

空気が変わりゼフィンが地面に手をつき、地面から自分の影を出し自分の分身を作る。

そして、その影は一瞬にして巨大化しアルナの方に向かってくる。



あいつ、本当に倒せるのか……

どうやったら倒せるんだ……

もう手はないのか。


心の中でそんな事を考えながらひたすら攻撃を避けるアルナ。

もちろんアルナだけが戦っていた訳では無い。

少し遠くでは、フェアリアの皓階や白階がもう1人の神階ミルフィスに攻撃するが、もちろん攻撃が当たらずに10秒間に1人ずつ殺られていく。


「フェアリアの軍はその程度か?なんのてごたいもないぞ?一気に終わらせてやる。炎霹神ボロスフレスド!」


その技を出した瞬間に、近くにいた数千の兵士は一瞬して死ぬ。

浮遊魔法を使って空中で戦っていたフェアリアの皓階ら白階も次々と炎に呑まれていき殺られる。

少し遠くで見ていた劍は、その哀れな姿を見て絶望する。


「これが戦いなのか……こんなのが戦いって言えるのか……」


更に神階ミルフィスの隙をついて攻撃しようとしていた瑞希セイバーは、その味方が無様に殺られる姿を目の当たりして怒り、そのままミルフィスに速攻をかける。


「貴様だけは……貴様だけは倒す!神審輝稀アスカロン!!神炎ジン!」


3つの炎がミルフィスの周りに現れ、だんだんと近づいてくる。

その間に瑞希セイバーはミルフィスの真下に移動し、浮遊魔法を使い一気に下から切りつけようとする。


「貴様も単純な奴よ……神階は一人一人個性を持っている。その個性は異常な物だ、それがあるだけで貴様らは勝てない。なのにそれ以上力がある我らになぜこうも向かってくるのだ?諦めて死ねよ」


瑞希セイバーは涙を流しながらミルフィスに訴える。


「貴方は分かってない……人の命はどれだけ腐ってる命であっても命なんだ!失っていい命なんてないんだ!!」


そう言いながらミルフィスの近くまで行くと、急に攻撃を停止させる。

ミルフィスは右手を瑞希セイバーの前まで持ってきており、少し前傾姿勢になっている。

そのまま瑞希セイバーは降下する。

不思議に思ってたミルフィスは周りを見渡す。

右、左、後、そして前、

なにもなかった。

上以外は……


「喰らえ!!!!!炎魔炎紅ベルングファイヤー!!!!!」


そう、瑞希セイバーは囮でありテリアルが本命だったのである。

それに気付かなかったミルフィスは完全に不意をつかれる。


「まさか、そこまでやるとはな……」

「これで終わりだ!!!!」


テリアル瑞希セイバーは勝ちを確信した。

でもテリアルは何かおかしいと思ってた。

なんでこんなにあっさり負けを認めるの?

あんなに強がってたのに……

まさかまだ裏技が……

待て……神階は1つ異常な程の個性があるって……


瑞希セイバー!!逃げて!こいつの個性は分身よ!!」


1つしかない、この圧倒的不利な状況で私達の攻撃を避け続けるなんて……

こいつ本当に強い……

悔しいよ……


テリアル瑞希セイバーにミルフィスの情報を伝え、悔しながらに諦めかけた時にミルフィスが喋り始める。


「哀れな奴よ。だが、俺の個性を暴き出したのは称賛するぞ。敵でなければな、まぁゆっくり死ね。」

テリアル!!!!!」


瑞希セイバーの声が街に響き渡る。

下を向き、諦めかけていた劍にもその声は聞こえる。

劍は昔の様に大切な人を失いたくない。

そんな気持ちから体が勝手に動き始める。


「俺の……俺の……俺の邪魔をする奴は殺す」


そして、ついに劍の圧倒的反撃が始まる。





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