第三話 限りなく負けに近い戦い

闘武大学園との対決日


「ここが獅羅雲学園か……中々建物はでかいのじゃな」


「会長は、初めて来たの?」


こと!タメ口で会長に話したらダメと何度言ったら分かるのですか!」


「堅苦しい事言うなよー!別にいいじゃん!」


「はぁ??あんた、規則は破るし会長にタメ口だし、人格終わってるわね」


「まぁまぁ、咲、そこら辺にしといてあげるのじゃ」


「かっ会長……」


「さぁ我らの戦の時が来るのぅ……」


「お待ちしておりました。天将市会長」


と獅羅雲学園の門の手前で明音会長が挨拶をする。


「明音まで、そんな礼儀正しくして気持ち悪いぞ?」


「今日は、対戦相手ですからね」


と最初から火花を散らしている明音会長であり、それを難なくかわそうとする八総合序列1位、闘武大学園の会長、天将市である。

そして、明音会長は獅羅雲学園の中へ案内し準備室へ連れていくのであった。




獅羅雲学園の準備室


ガチャ


「明音会長……闘武大の人来ましたか?」


「えぇ、来たわよ」


明音会長は、劍達に闘武大が来た事を話し、もう一度作戦とルールを確認する。


俺は、この戦い必ず勝つ。

そして、知らなければならないんだ。

俺は一体誰なのか。


「劍?つーるーぎ?」


「あっ、すまん。寝ぼけてたみたいだ。」


「あっそうなの、大丈夫?今日頑張ってね。私も精一杯頑張るから!」


「あぁ勿論だ!」


そして、試合の時間になり、皆が会場へと移動する。






会場


「さて、皆さん!この戦いはとても勝つ確率が少ないです。ですが諦めたらそこで終わりです。誰が誰と当たるか分かりませんが、全力で勝ちに行きましょう!」


明音会長が皆を勇気づけ、最初の選手である立花水紀がフィールドに立つ。


立花水紀って聞いた事あるけど、実際どれくらい強いんだろうな。武器の名前は……魔水底ストルジュストゥルブだったかな。

舞とは、逆の水か……


そう考えているうち、試合の合図が聞こえる。


「獅羅雲学園 一年Aクラス 立花水紀 序列10位 八総合序列 90位。闘武大学園 一年Sクラス 立花雷雪 序列7位 八総合序列 54位。バトルスタート!」


「さぁ!行くわよ!魔水底ストルジュストゥルブ水人化すいじんか!」


「そっちも使えるんだ、、私も行こうかね。雷切らいぎり雷人化らいじんか


雷人化と水人化とは、武器を体と同化させる事により、普通の剣で戦うより、5倍は強くなるという技だが、その代わり体力の消費が激しく、使える人も極一部と言われる。


「あなた、使えるのね。同人化を」


「当たり前じゃない、でも喋ってるほど余裕はないと思うよ?雷同一律らいどういちりつ!」


「それはどうかな!水天髣髴すいてんほうふつ!」


二人の拳が空中で混じり合う。

だが……


「私は雷、貴方は水……これだけ言えばわかるよね?雷霆万鈞らいていばんきん


立花水紀の後ろから、雷が現れ、徐々に近づいてくる。


「くっ……地水火風ちすいかふう!」


「地面から水に見えた透明なバリアねぇ……見え見えよ」


「なっ!なんで分かるの?」


「天才だから?疾風迅雷しっぷうじんらい


立花雷雪は、水紀の張っているバリアを瞬速のスピードで突進し、バリアを壊す。

そして、壊した直後後ろから迫ってきていた雷が直撃する。


「あぁぁぁぁぁ!!!」


「その雷は、雷を溜める時間がいるから溜めた分、雷を放出できるから今回は長いわよ?まぁ今、楽にしたあげる。電光雷轟でんこうらいごう。さぁこの技で終わりよ!」


立花雷雪の体から巨大な剣が出てくる。

そして、その剣で立花水紀を突き刺そうとする。


「くっ……な、なんて、力……でも!負けるわけには……」


と耐える立花水紀だが、立花雷雪の攻撃をくらいその場に崩れ落ちる。


「対戦ありがとうございます」


「第一回戦、闘武大学園、立花雷雪の勝利」

と一人の審判が言う。


「あれが、闘武大の序列7位……」


「あら、劍怯えてるの?」


「多少はね…会長は勝てると思いますか?この戦い」


「負けると思っているのなら最初から引き受けないわ」


「ですよね。俺、何言ってんだろ……」


「人は前を向けなくなる時もあるわ。でも前を向ける時もある。それは人の言葉、自分のふとした行動、どれか分からない。けれどもし、答えがすぐそこにあるのなら今下を向いている劍君は、すぐに前を向けるわ」


「明音会長……」


「次は舞さんと羽波さんよ。応援しないとね」


「ですね」


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