第1302話 運が良かったって事にしておこうかな。的なお話
朝となり、さて今日はどうしようかなと考えていたんだが、なんか知らないけどユキノが今日もおめかししてる。
その、なんだ?
昨日から恋人になったって事でいいんだよな?
それと何か関係があるのだろうか……?
「その格好……一体どうしたんだ?」
「ん? いや何、これからちょっと家の方に顔を出してこようかなと思ってな。恋人が出来たから婚約話は断りますとな。」
「待て待て待て! いや、急すぎない!? 昨日の今日だよ!?」
「こういうことは早い方がいいだろう?」
「何その男前発言!?」
「男前か?」
「いやまあ、そういう潔いのはかっこいいというか、男の子っぽいよね?」
「ん。」
「ですね。」
「そうなのか……。」
「大体なんで1人で行こうとするんだよ。そういうのは俺も一緒に行くべきじゃないのか?」
「それをしたらレントに迷惑がかかる気がして……。」
「迷惑かどうかなんて気にするな。おれとユキノはもう恋人なんだからな。」
「っ!? ……そうか。そうだな。」
ちょっと照れくさいが、ユキノもふわりとした笑みを浮かべてるし嬉しかったんだと思う。
だから、言ってよかったと思う。
「し、しかし、そうなるとどうするかな。私1人ならともかく、他に一緒に行く者がおるのなら先触れを出しておく必要があるな。」
「んー、それなんだけどさ、僕も一緒に行っていいかな? 挨拶しておきたいしさ。」
「私も。」
「私も行きたいですし、きっとみんなもそうだと思いますよ?」
「全員となると、やはり先触れは必要か。しかし、それなら誰がそれを伝えるか……。」
「あの、それなら私が行きますよ。元々そういう仕事をする為について来ているんですから。」
コハルさんがそう言ってくれたので、ユキノは家の人に渡す手紙を書くとそれをコハルさんに私で届けに行ってもらった。
その間に俺達はキサラギ家へ赴く際の服装選び。
「服はどんな感じにすればいいんだ?」
「私の家は昨日のリュウガミネと違い五等大名だからな。そこまで気にする必要はないから普通の格好でいいぞ。まあ、流石に武装していたり見窄らしい格好をしていたら入れてはもらえぬだろうが、普段の格好ならば何も問題はないはずだ。」
「そうなのか。あ、そういえば移動はどうするんだ? やっぱり馬車?」
「確かに馬車の方が好ましいが、流石に今から手配していては間に合わぬだろう。普通に歩いていく。」
「自前のじゃ駄目なのか?」
「ダメとは言わないが……窮屈だろう?」
「確かに人数も結構ギリギリになってるけど、無理なわけじゃないし……。」
「客として行くのであればそんな窮屈な状態で行くものではないだろう。預かっていられる場所もないしな。」
「そうなのか?」
「五等大名だからな。本邸ならばともかく、京の家の敷地面積はそこまで大きくないんだよ。こういうのは暗黙の了解で広さが大体決まっているしな。」
「あー、よくある話か。」
我が家よりも家格が低い癖に大きな家に住むなどけしからんとかそういうの。
そういうトラブルを避ける為に自然とルールが決まっていったんだな。
さもありなん。
面倒なだけだとは思うが、その辺は大名も貴族も変わらないんだな。
一応全員にキサラギ家に行く事を伝えて一緒に来ないかと誘ったところ全員が行くと答えたので大急ぎで服を準備して着替える。
さっきまではラフな格好で居たからね。
そうして準備を済ませて後はコハルさんが帰ってくるのを待つばかり。
そうしてコハルさんが戻ってきて、それじゃ早速と意気込んだのだが……どうやら午前中は用事があるみたいで午後から来て欲しいと言われたそうだ。
よっしゃ行くぞーって気分になってたから出鼻を挫かれてしまった。
でもまあ、それなら馬車の手配とかも出来そうだし……運が良かったって事にしておこうかな。
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