第1288話 引き続きお願いしまーす。的なお話

昨日はああ言われて安心したものの、一晩経てば不安も顔をもたげてくるというもの。

念の為服の確認をした方がいいだろう。

とはいえ、俺は俺のファッションセンスを微塵も信用していない。

若干中二の気もあったし。

昔を振り返ってみればどちらかといえば黒系の服を好んでいたような気がするので、信用すべき点が見当たらないんだよな。

というわけでここはいつも通りに。


「セフィア……リュウガミネさん家に行くときの服を選んでくれるか?」

「いいよ。」

「あ、後リリンはアカネを呼んできてくれ。貴族側の意見も取り入れたいから。ユキノも手伝ってくれ。」

「ん。」

「分かった。」


取り入れたいとは言うが、俺は口を挟まないしやるのは着せ替え人形だけなんだけどな。

取り入れた方がいいのかどうかの判断もセフィアにお任せだ。


「ただ、ふさわしい服がなかった時が怖いよなぁ。」

「確かに高い服とかは用意してないからね……生地とかその辺で弾かれたらどうしようもないね。」

「そうなったら新たに用意すべきなんだろうけど、ヤマトで手に入るかなぁ……? 最悪奥の手を使う事も考えた方がいいかも。」


奥の手はもちろんリリンの転移魔法。

出来るなら使わないで済ませたいが、本当に最悪の場合は使ってアデルを頼るしかないだろう。

それはしたくないなー。


「それじゃあレント。持ってる服全部出して。」

「はいよ。」


言われるままにストレージから服を出していく。

こうして見ると壮観だなぁ。

机の上に乗り切らず、部屋の至る所に出して並べていく事になり、自分がこんなにもたくさんの衣服を持っている事にちょっと感動する。

日本では制服が基本という事もあって服なんて上下それぞれ5、6くらい? もう少しあったかもって程しか持ってなかった。

まあ、一学生にはそうそうあれもこれもと買えないってのもあるんだけどね。

それでも別に興味もなかったからあんまり買ってなかった。

そんな俺が今じゃこれだけの服を持ってるんだもの。

人生何がどうなるか分からないもんだ。


「連れてきた。」

「ありがとう。それじゃあみんな。忌憚なき意見を言ってくれ。」

「じゃあ遠慮なく言わせてもらうけど、これとこれ、それにこれも……後この辺も無しね。ラフ過ぎるもの。」

「これとかも少々合わないだろうな。」

「これはどうかな?」

「それは冒険者っぽさがあるからやめた方がいいでしょうね。」

「あ、やっぱり。となると……この辺も無しだよね?」

「そうね。」


もうすでに蚊帳の外。

うん、まあ、分かってたけどね。

俺には輪の中に入ることは出来ないって事くらい。

それっぽいので俺が考えられるのはなんかこう、黒のジャケットとか黒のズボンとかそういうふわっとした感じだし。


みんなが選んで幾つかの候補が浮かんだ所でそれらを受け取る。

最後に実際に着てみてから判断するんだろう。

ひとまずは奥の手を使わずに済んで良かった。


候補となる組み合わせは全部で5パターン。

黒いのと白いのと紺色のと黄土色……いや、ベージュかな? あとも1つ黒いの。

派手なのは好まないって知ってるからか、持ってる服も自然とそういう主張の強い色味の物は無く、落ち着いた雰囲気? の物ばかりだ。


そうして全部試した結果選ばれたのは紺色のやつ。

後はアクセサリーを1つ2つといった感じらしい。

アクセサリーに関しても全然分かんないんで、引き続きお願いしまーす。

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