第1266話 進化してるんだなぁ。的なお話
はっ!
朝だ!
いや、違う。
昼だ!
寝たのは朝方、起きたのは昼頃って……。
流石に人数が多すぎるししょうがないのかもしれないけど、今日は演舞本番だから少しは加減して欲しかった。
それに本当は今日は最終日ということもあるし朝から遊ぼうと思ったのにもうお昼だよ。
準備の時間もあるから6時までに会場に行かないといけないというのに……。
嘆いていても仕方ない。
みんなを起こしてさっさと昼を食べよう。
朝を食べ損ねたからお腹空いてるし。
あ、その前にこの惨状の片付けが先か。
こんな部屋に仲居さんなんて通せない。
あー面倒。
本当に、リリンはよくもまあこんだけ集めたもんだよ。
この熱意にはある意味感心するよ。
それだけ好いてくれてるって事でもあるから嬉しくはあるけど、時と場合を考えてほしくもある。
ここ最近はずっと出来てなかったからフラストレーションが溜まってたんだろうけど、もう少し我慢してて欲しかったな。
お昼を食べ終えて参加しない残りの面々と合流して早々に蒼井に文句を言われた。
返す言葉もない。
俺だってこんな時間になるとは思ってなかったから。
まさか全員でなんて思いもしなかったし。
「時間をロスした分出来る限り遊び倒すわよー!」
そんな蒼井が無駄にテンション高いです。
それにしても、遊び倒す、ね。
なんだかんだで結構回った気がするし遊び倒せるほどの物はもうないと思うんだけどな。
なんて思っていた時期が俺にもありました。
食べ歩きに大道芸人にバナナの叩き売りに露店巡りと定番だけど、定番だからこそ外れのない遊びをしていく。
これが結構楽しい。
ん?
バナナの叩き売りって定番か?
いや、定番か。
にしても、よく食べるね。
アイリスさんとリナさんはお昼を食べたばかりという事もあって買い食いに関してはそこまで積極的じゃないけど、それ以外のメンバーは特に気にした様子もなく普通に買ってる。
意外な所だとコハルさん。
戦闘職じゃないはずなのに蒼井と一緒に食べ歩きしてる。
それに、その蒼井だって最近はあまり仕事してないはずだし、大丈夫なんだろうか?
カロリー。
まあ、言わないけど。
どう考えても地雷だし、俺はそんな地雷原でタップダンスをするような愚行はしない。
「風見風見風見!」
「はい、風見です。」
「……なんではい、カ◯マですみたいに言ったの? ま、それは置いといて、あれ見てあれ。」
「あれって、ラーメン?」
「そう、ラーメン! 前にストックがどうのって言ってたじゃない。だから丁度いいし沢山買おうよ!」
「そうだな。それもいいかもな。」
というわけで蒼井が見つけたラーメンの屋台に向かったが、結構人が並んでいる。
割り込みなんてするつもりもないので普通に並んで待つ。
そうしてようやく俺達の番が回ってきたところで少しだけ驚いた。
「久しぶりじゃないか! 元気にしてたか!?」
「ええ。」
「最近全然見かけなかったから心配してたが、元気そうで安心したぜ。」
屋台をやっていたのはヨージさんだったから。
まあ、ラーメンという時点でもしかしてとは思っていたから少しだけだが。
「それでヨージさんはどうしてここに? お店の方はいいんですか?」
「ああ、この国にも一応商談できてんだよ。やっぱ買い付けをするなら生産地の方がいいからな。実際に品物を見られるのがいい。そういうそっちはどうしてここに?」
「まあ、祭りの見物ですね。」
「そうか。すごい活気だしな。それに日本に似た国とあっちゃあ無視出来ねーよな。」
「そりゃそうですよ。」
なんて会話しつつも注文をして大量に買っていくつもりだったが、これだけの行列が出来てるしって事で購入数制限が設けられていた。
残念だ。
なので人数分だけ買って、ストックに関してはまた後で交渉するつもり。
ちゃんと宿の場所も聞いたしな。
というわけでさっさと屋台を離れる。
他のお客様のご迷惑になるので。
そしてある程度離れたところで早速食べる。
うん。
美味い!
しかも前よりも美味しくなっている。
進化してるんだなぁ。
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