第1156話 その話30文字以内に纏まりません? 的なお話

あー、疲れた。

肉体的な疲労よりも精神的な疲労の方が大きい。

いやまあ、肉体的にも疲れてはいるけどさ。

何度も転んだり落ちたりして地面を転げ回って、挙げ句に酔って気持ち悪くなったりしたし。

でも、それらの肉体的な疲労よりも精神的な疲労の方が大きいんだよ。

やっぱグルグル回りまくったのが普段と違う体験で疲れたんだろうな。


さて、それじゃあそろそろ帰ろうかな。

みんなも待ってるだろうし……快復したから夜も再開なんて事にはならないよね?

いや、流石にないだろう。

だって、試験中だし。

今日疲れたし。

明日もあるし。

何もないと信じよう。


「ちょっといいかな?」

「ん? なんだ?」


こいつは確かアルフレッドって名前だったかな。

アザミが選んだ。

そんでアザミの事が好き。

前に惚れた弱みとかなんとか言ってたしな。


「ここで立ち話もなんだし、どっか飲みに行かないか?」

「え、普通に嫌だけど。というか、初対面の時に何したのか覚えてないわけじゃないだろうに、それでよくそんなこと言えるな。感心するよ、そのおつむの都合の良さ。そんな暇あったら自主練するなり宿に帰るなりしろよ。」


意訳すると、さっさと帰ってアザミと一緒にいろよって事だけど、通じるかね?

無理か。

嫌みしか無いし。


「そうは言うけど、君、アザミに何をしたんだい? 数日前から様子がおかしいんだよね。聞けば君と会って話をしたって言うじゃないか。何かあったと思うのが普通だよね? それを穏便に済ませようと思って話だけにしようとしたのに、何? そういうのがお好みなの? なら買うよ?」


シルヴィアの時みたいに失敗するなよな俺。

簡単に感情をあらわにするなんて、ガキにも程があるだろ……。

もう18……あれ、19か?

冒険者なんてやってると曜日とか日にちの感覚が曖昧になってくるんだよな。

とにかく、もう大人なんだし、少しは感情を抑えることを覚えないと……。


「そんなつもりはないがな。というか、こっちはさっさと帰りたいんだよ。明日もまだ続くんだしな。」

「……なら、少し付き合ってくれ。軽く一杯だけでいいから。」

「分かったよ。」


そんなわけで、アルフレッドと少しだけ飲みに行く事になった。

向かったお店は大衆向けっぽい感じの居酒屋といえばこれって感じのお店。

そこで俺は普通にお茶を選択した。


「下戸なのか?」

「よく知らない奴とサシでなんか飲めるかよ。」

「用心深いんだな。」

「別にそんな言うほどでもないだろ。それよりも本題は?」

「注文が来るまで待てないのか?」

「宿には美味い料理と可愛すぎる嫁さん達が待ってるんでな。それに、自主練をしておきたいし。」

「最後のには同感だね。」


注文した品が来た所で本題となった。

といっても、本題に関しては稽古場で大体言ってたので俺はその時の説明をするだけだが。

そうして全部説明すれば納得してくれた。


「なんだ、そういうことだったのか。それならそうと早く言ってくれよ。」

「それくらいアザミ本人に聞けよ。」

「いやだって、深刻そうな顔してるんだもの。簡単に聞けることじゃないだろ。」

「そうかもしれないが、好きな相手が悩んでいるんだったら声をかけて相談に乗ってやればいいじゃないか。」

「それが出来たら苦労はしな……って、好きな相手!?」

「違うのか?」

「……違わない。そんなに、分かりやすいか?」

「いや、全然。ただ、前に自分でそう言っていただろ。」

「そうだったかな? でも、それならアザミさんにはバレてないかな。あの人、人との距離感測るの苦手だから。」

「だろうな。ユキノとの関係見てれば分かる。」


アルフレッドは苦笑する。

自分で言ったんだろうが。


「俺実はさ、元々捨て子だったんだよね。」


え、何?

ここで過去話?

てか、捨て子だったからだとかなり長くなりません?

俺、早く宿に帰りたいんですけど、その話30文字以内に纏まりません?

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