第1115話 逆に聞きたいものだ。的なお話
使者さんも帰ったのでまずは試験に関する書類でも見てみますかね。
えーと……ふむふむ。
「使者さん帰ったみたいだけど、どうだったの?」
「試験の内容に関しての簡単な説明だけだったから特に問題はないよ。で、今はその使者さんがくれた書類読んでるからちょっと待ってて。」
「うん。」
セフィア達が声をかけてきたので軽く返事をする。
セフィア達は内容に機密事項なんかがあるといけないからと隣の部屋にいてくれてたけど、大したことない内容だったし、それにこうして書類なんかも渡してくれたんだし、そこまで気にする必要はなかったな。
とはいえそれは結果論だからこういう事はきっちりとしとかないとね。
「試験なんだけど……。」
「あ、読み終わった?」
「ああ。それで試験に関してだけど、試験は一次から三次まであってその一次は基本的にいつでも受けられるみたい。期日は一応勧誘員達が全員帰ってきてから1週間以内って書いてあるけど、まだ全員帰ってきてるわけじゃないみたいだし、実質いつでも大丈夫って事になるかな。一次の結果は1時間後には出てるそうだよ。使者さんも基本的に全員通るって言っていたから形式的なものになってるんだろうね。」
「そんな簡単なものなの?」
「一次は人格とかを見るものだけど、その辺は勧誘員がしっかりと見てるから問題ないんだってさ。」
「なるほど。」
「で、二次はその一次試験の1週間以内の日時を指定して試験を受けるんだって。まあ、これには他の候補の試験時間とか試験官の都合なんかもあるから必ずしも希望日になるとは限らないって書いてあるけど……俺達はただの観光客みたいなもんだからいつでもいいしこれに関しては問題はないな。」
「観光客……一応、国にとって重要な祭事なんだが……。レントは国内の人間がなりたくてもなれない英雄役の候補なんだが……。」
「でも実際、観光みたいなもんだろ?」
「それはそうなんだが……むぅ。」
「で、最後の三次だけどこれは演技指導を受けてその上で決める……まあ、最終試験みたいなものだな。だからか全ての候補が集まってからじゃないと行えないから時期は未定でその辺はまた使者さんが来てくれるってさ。」
「なるほどねー。あ、その書類見てもいい?」
「どうだろ? ユキノ、これって他の人に見せてもいいのか?」
「特に何も書いてないのであれば問題はないんじゃないか? 誰にも見せるなとは言われなかったしな。」
「そうか。じゃあ……大丈夫そうだな。ほい、セフィア。」
「ありがと。」
「さて。それじゃあ俺はこのまま一次試験でも受けに行こうかな。」
「え、今から?」
「ああ。どうせ受かるんだったらいつ受けたっていいだろ? それに、知らない内に最後の候補者がやって来て試験期間終了ってのも嫌だしな。じゃあ、行ってくる。」
「あ、待って。場所は分かるの?」
「……ちょっと自信ないかも。悪い、ユキノ。ついて来てくれない?」
「元よりそのつもりだ。それも仕事の内だしな。」
「というわけで、改めて行ってくる。みんなはここでのんびりしていて。」
1時間くらいで試験結果が出るとはいえ、逆にいえば1時間は待たせてしまうという事でもあるからな。
それだけの時間意味もなく待たせるのも申し訳ない。
ならば別行動の方がいいだろう。
ユキノに案内してもらって試験会場にたどり着く……前に困っているお婆さんを発見。
なんか足を挫いたとかなんとか。
そんで重い荷物を持ち運べなくなってて困ってるとか。
なので手持ちのポーションを飲ませて捻挫を治し、その上で重い荷物を持って目的地までついて行った。
「この荷物、中身は京でも有名な味噌なんよ。孫も封竜祭の時に遊びに来てくれるゆうて、もてなそうと思うてたんやけど足をくじいてもうて困ってたんよ。ほんにありがとなぁ。ちょう待っとってな。お礼にこの味噌少しわけたげるから……。」
そう言ってお婆さんは味噌をくれた。
しかしなんでだろう?
なんか微妙な関西弁みたいに聞こえてきたんだけど……ひょっとして鈍りは全部あんな感じで聞こえてきたりするの?
途中でトラブルがあったけど、問題なく試験会場に到着。
そして試験だけど、本当に当たり障りのない事を聞いてきて、その後別室で待機させられ、その間に英雄役候補勧誘員であるユキノがいくつか質問をされたらしい。
で1時間経つ頃には試験結果も出て無事に合格となりました。
というか、あの質問の内容でどうやって不合格になるのか逆に聞きたいものだ。
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