第1091話 さて、どう料理してやろうかね。的なお話
「それで、一体何があったの?」
「何がってただ単に戦闘をした結果だよ。」
「それにしたってこれは……。」
アカネはそう言って亀裂の先を眺めていく。
そう思うのも無理はないが、戦闘の結果なのは間違い無いので、どうしたものかな〜って。
「まあ、それは後でいいだろ。それよりも今はこの亀裂をなんとかしないとだ。これじゃ通行人が困っちまうし、早くここを離れないと魔物が現れるかもしれない。一応護衛依頼を受けている身だしそういう事は避けたい。」
「あ、そうね。でも、こんなのどうするの?」
「とりあえず防御用に作ってもらった土壁の瓦礫を材料にするけど、多分足りないから残りは全部セフィアに任せるしかないな。」
「で、その瓦礫はどこなの?」
「ストレージの中。」
「あ、そう。」
というわけでドザーっと出していくけど、やっぱり全然足りてない。
残りはセフィアに頑張ってもらうしかないけど、これはなんとかなるんだろうか?
「じゃあ今からやるよ。」
「頼む。」
「任せて。」
そう言ってセフィアは某錬金術師みたいに両手を地面につけて地面の修復作業をする。
あれ昔読んだ事あるけど途中で断念しちゃったんだよね。
人気だからと古本屋で読んだけど途中までしか無くてそのまま……。
あれはもったいなかったのかな?
まあ、凄く今更だね。
そんな事を考えているうちにズゴゴゴと音を立てながら地面が直っていく。
そして綺麗に亀裂がなくなった。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……お、終わったよ……。」
「お疲れ。悪いな。こんな事頼めるのセフィアしか居ないからさ。とりあえずMPポーション飲むか?」
「うん、飲む……。」
魔力を1度に大量に使ったからかふらふらとしていたセフィア。
多分ロストマインド寸前だったんだろう。
あれ結構辛いんだよね。
そして移動を再開。
よくよく考えてみれば戦闘でそれなりに時間を使ったし急がないと日が暮れる前に街につけなくなる。
なので気持ち急ぎめに……あの、アルバさん、マロンさん。
急いでくれと言ったのは俺だけど、そんなにガチで走らなくていいんですよ?
めっちゃ速いです。
「それで、結局あの亀裂はなんなの?」
「え、ああ。鵺の能力が本当に厄介でな、俺も手が焼け爛れたりして危なかったから全力でやったらああなった。」
「ちょっ、それ大丈夫なの!? 手見せなさい!」
「だ、大丈夫だから! ちゃんとポーションで治したから。」
「本当に大丈夫? ポーションでも失った血とかは戻らないのよ。」
「大丈夫だって。焼け爛れたから血自体はそんなに出てないから。」
「それでも何かあるかもしれないじゃない……。」
「心配し過ぎだって。」
「そりゃ心配するわよ……。」
「アカネ……。」
「んんっ! そ、そういうのは家か宿でやってはもらえぬだろうか?」
「え、あっ!」
「ごめん。」
何故だろう?
ここは照れる場面のはずなのに何故か家ならいいのか!? というツッコミがしたくなった。
そして無事何事もなく元来た街に戻ってきました……なんでぇ?
なんでそうなるの?
ひょっとして馬車が戻ってきたからUターン出来なかったから?
だけど、今回に限ってはそれが良かったみたいだ。
「だから、鵺が出たんだって! 馬車乗ってた奴らがこっちの方になすりつけようとして来て、それを察知してなんとか逃げ出したんだ!」
「お前達の言う馬車というのは、あれか?」
「は?」
この3人組、鵺をなすりつけて来ただけじゃ飽き足らず、あろう事かその罪までなすりつけようとしてやがった。
もしかしたらアルバ達が急いでいたのは3人組の匂いか何かを察知したからなのかもしれない。
ウチの子達、優秀すぎない?
その内角とか羽根とか生えて来たり、鬣が炎になったとしても不思議じゃない気がする。
アルバとマロンを褒めるのはまた後でするとして、まずはこっちをどうにかするとしよう。
さて、どう料理してやろうかね。
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