第1078話 安宿は防犯的に問題があるからね。的なお話
入門税を払わないという選択肢は無いので仕方なく払う。
入国税の時と違い、こちらは1人10万なんていうぼったくり価格じゃないというのは幸いだった。
1人1000リムというのは妥当な金額設定なのかは分からないけど。
日本に県境はあっても仕切りは無いからねぇ。
普通に都道府県を越えられたからイマイチ相場が分からない。
そういえば、すごい今更だけどヤマトでも通貨単位はリムなんだな。
地球じゃ結構通貨の種類があるからちょっと意外。
まあ、素材が金銀銅とかだし単位を統一してても不思議じゃないか。
為替レートとかそういうのを判断するのも一苦労しそうだし、その点素材や重さを同じにして単位を統一しておけば面倒なやり取りはせずに済む。
実際の所はどうなのかは分からないけど、そんな感じなのかね。
「さて、それじゃあ無事に街の中に入れた事だし、早速今後の事について話そうか。具体的には今晩の宿について。」
「え、普通に宿を探せばいいんじゃないの? あ、もしかしてさっき聞くの忘れたから?」
「違う違う。前の街ではヤスカネ様のところでお世話になっただろう? だから今回もお城に行ってお邪魔するのか、それともこの街で宿を探してそこに泊まるのかって事。ただ、個人的には宿を探して泊まるってのを推したい。」
理由は簡単。
こんな時間にいきなり訪ねてあまつさえお屋敷に泊めて欲しいんです〜なんて厚かましい真似はするべきじゃないししたくないから。
いくら国にとって一大行事の主役候補だからといって、それを傘に着るのはどうだろう?
ヤスカネさんの時は向こうから申し出てくれたから泊まったのであって、それに味をしめてまたお世話になろうなんていう厚顔無恥な真似はとてもとても。
とはいえ、流れで受ける事になったけど、俺達は今護衛依頼を受けている。
だから防犯という意味ではお屋敷の方がいいんだけど……感情的な問題がね。
それに、護衛をするのであれば側に控えて即座に対応出来るであろう宿の方が助かるという理由もある。
成り行きとはいえ受けたからには真面目にするべきで、それを他の大名様に任せて自分はのんびりお客様として寛ぐわけにはいかない。
そんな事をみんなに説明すると、納得してくれた。
でもそれは俺個人の考えなので他に意見がないかみんなに聞く。
こういうのを疎かにすると不満を溜めて爆発なんて事になりかねない。
離婚とかしたくないからちゃんと聞いておくべきだよね。
「僕としてはレントの意見に賛成なんだけどさ、そもそもの話、なんで大名の所に行く前提なの? 招かれてるのは国からであって大名からじゃないよね? ならわざわざ顔を出す必要はあるのかな?」
「あ……。」
セフィアの言う通りだ。
なんで大名の所に顔を出さないといけないと思ってたんだ?
ヤスカネさんの所に顔を出したから自然とそうするものとばかり考えていたけど、そもそもヤスカネさんの所に寄ったのだって観光をするのに馬車が邪魔だから置かせてもらえないか聞きに行ったのが理由だったはず。
そんで向こうが泊まらないかって提案してきたんだった。
「ふむ、セフィアの言う通りだな。訪ねなければならない理由が無いのにこんな時間に出向くというのも失礼というもの。それに、この街はマサミの家の領地なのでな……。」
「マサミ?」
「船で絡んで来ただろう?」
「いやあれ、アザミだから。ちゃんと名前覚えてあげなよな……。」
「む? そうだったか?」
アザミが不憫というか、なんだか可哀想になってきた。
前からこんな感じだとあんだけ突っかかる理由もわかる気がする。
どれだけ名前を名乗ろうとも覚えてもらえないのだ。
そりゃムキになったりするよな。
この後、街行く人に聞いてそれなりにお高い宿を選んで泊まった。
安宿は防犯的に問題があるからね。
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