第1063話 安全なのは確認取れたし的なお話
何をするにもまずは腹ごしらえ。
というわけでお昼ご飯を求めて街の中を歩きます。
街のイメージは左頬に十字傷を持つ赤髪の若作りな剣客さんの漫画に出てくる街並みって感じか。
城の周りを武家屋敷のような家々が囲み、その近辺の家もまた白い壁で出来ていたりする。
漆喰だろうか?
そして街の外に近くなると茶色い、完全木造の家家が立ち並んでいる。
というか並んでいた。
その辺は馬車で移動している時に見たから知ってる。
「希望の品目はあるか?」
「店に何があるのか知ってるのか? ここはユキノの家とは関係ないんだろ?」
「関係は無いが西方大陸にはこの街から向かったのでな。その時に幾らか滞在していたのである程度は知っている。潰れてなければの話だがな。」
「微妙に反応しづらいこと言うなよな……。とりあえず俺はヤマトっぽい料理なら何でもいいよ。」
「最初なんだしその土地の物とか食べたいし、僕もそれでいいよ。」
「ん。」
「ですね。」
「あ、私お肉料理がいいんだけど。」
「なんでここで流れガン無視!?」
「え、だってなんでもいいんでしょ?」
「そりゃそうなんだけど……。」
相変わらず蒼井は自由だ。
「肉か……ならばあそこがおすすめだな。案内する。こっちだ。」
ヤマトっぽくて肉を使った料理で心当たりがあるらしい。
俺にとってヤマトといえば日本に似ている国というイメージ。
そして過去の転移者転生者勇者なんかがこの地を安住の地として目指したとされる日本人にとってのフロンティア。
そんなイメージ。
しかし、街並みからして時代は明治初期に近い感じ。
その時代の肉料理で浮かぶの牛鍋オンリー。
果たして、何が出てくるのか……。
「ここだ。」
「へー、落ち着く雰囲気だな。」
日本の小料理屋といった様相なので落ち着きます。
大人数が座れるお座敷に畳が使われているというのも理由の1つかもしれん。
やっぱり畳っていいよね。
「さて、メニューは……って、なんで焼肉定食がオススメなんだよ!?」
「ん? 何かおかしいか?」
「おかしいわけじゃない。おかしいわけじゃないんだけどぉ……あー! なんて言えばいいんだ!? らしいと言えばらしいけど、らしくないんだよ!?」
「本当に意味が分からないな。」
他のメニューもから揚げ定食にとんかつ定食、生姜焼き定食と日本の定食メニューとしてはど定番なのが多く存在する。
それも日本らしいけど、なんか違う!
時代というか、世界観というか……あー、本当になんて言えばいいんだ!?
「街並みとか、世界観が中世とか、明治なのに、メニューが凄く現代的なのが違和感を感じるのよ……。」
「それだ! そうそうそんな感じだ。」
「ふむ……やはりよく分からないな。」
「でしょうね。でも気にしなくていいわ。これは私達が勝手にそう感じているだけだから。」
アカネは分かってくれるみたい。
そして蒼井もうんうんと頷いているから同意のようだ。
でもさ。
蒼井が肉料理がいいって言ったんだよ?
その蒼井がその反応はなんか違くない?
「お待たせしました。熱いのでご注意下さい。」
結局俺が選んだのは牛鍋定食。
ただし内容は完全にすき焼き定食。
ご飯、味噌汁、漬け物、すき焼きに生卵というザ・すき焼き定食。
ま、別にいいんだけど。
それよりも重要なのが、生卵があるということ。
この世界では基本的に衛生的な問題で卵は煮たり焼いたり茹でたりと、加熱するものという認識。
だから、これはこの世界に来て初の生卵である。
「え、それ生なの!?」
そう、この世界初なのだ。
当然周りからはこういう反応が出てくる。
「そうだな。でもすき焼きと言えば生卵だろう。」
「そうね。」
「当然ね。」
ちなみにアカネ、蒼井の2人も牛鍋定食。
蒼井はから揚げ定食とどちらにしようか悩んでいたけど、最終的に牛鍋にした。
「ま、流石に産んでから何日も経った奴を使わないだろうし大丈夫だろ。」
「はい。もちろんです。契約している養鶏場からその日取れた新鮮な卵のみを使用していますのでご安心ください。」
あ、店員さんに聞かれてたみたいだ。
まあ、とにかく、安全なのは確認取れたし、それじゃあ早速頂くとしようか。
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