第1043話 ちょっとワクワクするな。的なお話
泥のように眠っていた気がする。
なんていうか、気が付いたら朝になっていたんだよね。
夢を一切見た記憶がないし、意外と疲れていたのかもしれない。
「ふぁ……。」
えーと、船が出るのは10時だったはずだし、それまでに行かないといけないから9時半には着きたいところ。となると……8時半くらいまでには出るべきか? いや、馬車で行くからもう少し遅くてもいいのか? というか馬車もありなんだったっけ?
うむぅ……仕方ない。
よく覚えてないし、後でユキノに聞こう。
気持ちよさそうに寝ているみんなを起こして食堂に向かう。
そういえばこの宿での食事も食べおさめか……なんか勿体ないし寂しいな。
ちょっと多めに食べよっと。
朝食を終え、宿を引き払い港へ向かう。
馬車も馬も乗せていいらしいので馬車で港に向かう。
もしもダメだった場合はリリンに転移魔法を使ってもらいアデルの家に預けようかと思っていたが、そうならなくてよかった。
……よかったのかな?
そっちの方が安心だし。
でも不用意に転移魔法を使うのはよくないし、よかったんだろう。
きっとよかったはずだ。
「これが、俺たちが乗る船か……。」
「おっきいね……。」
世界観的に勝手に木造船だと思っていたが、そんな事はなかった。
基本全部木造船なんだけど、一部には金属が使われている。
具体的には船の側面。
多分だけど船底も使われているだろう。
こういう世界だと鉄は沈むから使わないって考え方だと思ってたが、そういう事はなかったようだ。
まあ、海狩人なんて職業があるくらいだし、海の魔物から船を守る為に金属で装甲を作るくらいはするか。
「ようこそ、装甲輸送船 鋼丸へ。」
船員に案内されて客室に向かう。
馬車の積み込みに手間取るかと思ったけど、船員の皆さんは慣れっこなようで、手際よく乗せていた。
アルバとマロンも船内にある馬房へと連れて行ってもらった。
客室は意外と多く、途中で船員ではないと思われる人と何回もすれ違った。
「なんか、人多いですね?」
「そろそろ封竜祭の時期ですからね。それに合わせて乗客も多く乗せているんですよ。」
「なるほど。」
「ここが皆様の客室となります。」
部屋はいつも通り3部屋。
部屋の最大宿泊人数が4人なので3部屋。
船の中と泊まれるスペースが決まっている場所だから2部屋くらいにしたかった所だけど、残念ながら5人部屋は無かった。
「あ、そうだ。この後時間はありますか? もしもあるのなら船内の案内をお願いしたいんですけど。」
「かしこまりました。では荷物を置きましたら早速向かいましょう。」
船員さん、結構親切だな。
というか慣れてるな。
まあ、乗客を乗せているし、これまでも同じような事が何回もあったんだろう。
最初に案内されたのは食堂。
ここで朝昼晩の食事をするわけか。
結構……いや、かなり広いな。
まあ、このサイズの船に乗る乗客乗員が集まるのだからこれくらい広くないと厳しいか。
次は遊戯室。
ダーツ、ビリヤード、簡易カジノ、ボーリングと長くなる船旅の暇を潰すための施設。
1週間の間どうしようかと思っていたけど、これなら大丈夫そうだな。
流石に1週間毎日アニメ鑑賞なんて流石に健康に悪過ぎる。
最後にダンスホール。
パーティーなんかも行ったりするそうだが、今回の旅程では行う予定は無いそうだ。
助かった。
あんな恥ずかしい思いは勘弁だ。
他にも武器庫とか貨物室とかもあるそうだけど、その辺は防犯の都合上案内する事はできませんって言われた。
当然というか、むしろそんな所案内されても逆に困る。
行動範囲が狭いけれど、元々この船は客船じゃなくて輸送船だからまあこんなもんだろ。
というか、乗客がたくさんいて、それで遊戯室なんかもある時点で十分すぎるだろう。
今日から1週間、のんびりとした船旅か。
日本じゃこんな事無かったから、ちょっとワクワクするな。
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