第1008話 理論がガバガバでも勘弁してくれよ。的なお話
カノンボルトイールが生息するという湖にたどり着いたので、まずは来た道を引き返すことにした。
だってこれからお昼にしようって思ってたんだもの。
れんと。
……みつをボケは置いといて、お昼にしようと思っていたけど、ターゲットが生息するという湖の近くで準備なんて出来るわけがない。
リリンや蒼井、ユキノの気配察知があるとはいえ、いつ襲われるか分からない状況というのは出来れば避けたい。
ならお昼を後回しにすればという意見も出たけど、俺、蒼井、アカネは普段より少しばかり早めに朝食を取っていた。
なので、普段よりも腹ペコさんなのだ。
そんな、お腹がぐーぐーへりんこファイヤーなのデス! っていう状態での戦闘は避けたいという俺達の意見によって話し合いは決着し、一旦下がって昼食を取ってからということになった。
初見の相手だから万全の状態で挑みたいっていうのもあるけどね。
というわけで、まずはお昼を食べるのに適した場所を選ぶ。
川の近くはカノンボルトイールが下ってきて襲ってくる可能性がゼロではないので無し。
とはいえ、周囲の森の中深くに入り過ぎるというのも問題。
結構歩いてきたからね、ここ。
人里から離れるほど魔物も強くなる傾向にあるから警戒し続ける必要が出てくるから、何処か近くに適当な場所があればいいんだけど。
ちなみに、なんで人里から離れるほど魔物が強くなるのかは知らん。
魔素とか瘴気とかそういうのが溜まりやすいっていう理由とかか?
こういうのの定番だと。
まあ、分からない事は分からないままでいいや。
俺は世界から魔物を駆逐する! なんて言うつもりないからそんな事を知った所で大して意味はない。
発生原理とかを知っておけばなんらかの形で活かせるかもしれないけど、それが必要になる状況が思いつかない。
だから今のところは、大して意味はない。
そもそも知ってる人がいるかも分からないしな。
「ここにしよっか。」
「そうだな。」
お昼を食べる場所も決まったので、準備を開始する。
いつも通り食材、調理器具等を渡して後は待機するのみだけど、今日はこれから戦うカノンボルトイールの対策について話をしよう。
「セフィア、カノンボルトイールは3メートルを越す体長を持つ電気鰻の魔物で、その攻撃方法は主に尾鰭のなぎ払い、全身のバネを使った突進、水魔法による攻撃、そして体内の発電器官による雷撃砲でいいんだよな?」
「うん、そうらしいね。リリン、それ取って。」
「ん。」
「注意すべきなのは雷撃砲のみで、他はその他の魔物と大差ない能力だから、雷撃砲を放つ口の射線から外れてさえいれば十分戦えるんだよな?」
「そう書いてあったよ。ルリエちゃん、これお願い。」
「はい。」
調理中のみんなには悪いが、時間は有限なのでこの時間を有効活用させてもらう。
普段ならともかく、今回は初見の魔物だからな。
「それで念の為にユキノには脱いでもらおう。」
「何っ!?」
「あ、ごめん。言葉足らなかった。鎖帷子を脱いで貰うって話。」
「そ、そうか……。それで、理由を聞いてもいいか?」
「これは前の世界での知識なんだけど、雷に打たれた時に怖いのは心臓が止まる事。それで死ぬことが多いらしいんだけど、生き残る場合もあるんだよ。金属製品を身につけていた為に雷がその金属製品を通る事で心臓にダメージが行かなかったとかでさ。鎖帷子自体はその条件に当てはまるから助かる可能性が高まるとは思う。でも、多分電圧が高いから抵抗熱とかそんな感じで金属はかなり高温になるんじゃないかな? だからもしも雷撃砲に当たった時、上半身に網目模様の火傷痕が着くと思うぞ。」
「……脱ぐ。」
その状態を想像したのだろう。
すぐに脱ぐことを決めたようだ。
「ユキノの場合は防具の一部に金属が使われているから鎖帷子が無くても大丈夫だと思うからそれを頼るとして、みんなは軽くでいいからなんらかの金属製品をある程度身につけようか。」
まあ、この知識は結構前の物だから新しい定説とか生まれてる可能性はあるけど。
そもそも俺高1のゴールデンウィークにこっち来たから勉強出来てなくて学ないんだよ。
だから理論がガバガバでも勘弁してくれよ。
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