第967話 今はしっかりと食べよう。的なお話
1人2万もするだけあって、朝食も豪華でした。
でも、もうちっと安くならなかったのだろうか?
サービスは良かったし、食事は全部美味しかったけど、でもなんかモヤモヤするんだよなぁ……。
実はグレードの高い部屋に通されたとかだったりするのだろうか?
うーむ。
次は別の宿にしよう。
宿を後にした俺達はアクリアに向けて馬車を走らせる。
内側の城壁を越えた先には果樹園が広がっている……こっち側はこうなってるのか。
果樹園で作業をしている人達を尻目に馬車は進み、ついに外側の城壁へとたどり着いた。
ここに着くまでに結構時間がかかったし、なかなかの広さを誇っているようだ。
そこは城砦なんて単語がついていても一応は都市という事か。
所で領都や王都じゃないのに都なんて文字使っちゃっていいのだろうか……。
まあ、この辺も異世界言語適応でそう感じてるだけで実際は別の単語なんだけどさ。
でもちょっと気になった。
「そこの馬車、止まれ。」
門番さんに止められる。
「ここから先はグラキアリスとアクリアとの国境しかない。ここから出るということはアクリアに向かうということだが、それでいいのだな?」
「はい。」
「では、出国税を払ってもらうぞ。」
というわけで税金を納めます。
消費税以外で初の納税か……。
まさか異世界で初の納税をすることになるなんて。
そもそも、もう日本で納税なんて出来ないけど、な。
「うむ、確かに。ではこいつを持っていけ。」
「なんですか、これ?」
渡されたのは黒くて透明感がある四角柱。
光にかざすとキラキラとしているなんかの棒。
これは一体なんだろうか?
「それはこっちの方で出国税を払ったっていう証だな。それを持ってアクリアの国境沿いの街に行けば入国税だけで済む。無くしたり壊したりした場合だと出国税を払ったとみなしてもらえずに倍額払わされるから注意しろよ。」
はい、無くしません。
出国税は1人1万の計10万だったので、それなりの額。
まだ余裕があるとはいえ、あんまり無頓着でいるとすぐに無くなってしまうのがお金だから気をつけないとな。
「ああ、後、もしも何かあってアクリアに行かずにこっちのほうに帰ってきた場合にその棒を渡してくれれば出国税は返金されるってことも覚えておけよ。じゃないと損するからな。」
「分かりました。」
なんと。
こういうのはてっきり一度払ったら返さず、むしろ次出国する時にまた貰えるぜラッキー! って感じだと思ってた。
非常にありがたい。
平和な時代の平和な国に転移させて貰えて良かったわ。
そうして街を出る。
目の前には広い街道と広がる平原。
そして街道を少し進んだ先には街道を囲うように鬱蒼とした森があり、割とよくある光景。
そう簡単に景観が変わるわけではないのに、心なしか新鮮に移るから不思議だ。
ここから次の国に繋がっているというのが関係しているのだろう。
ただ、実際の国境はこの街道の中間地点らしいが。
馬車を走らせるが、街中での移動に結構時間がかかった為、すぐにお昼の時間となった。
いつも通りのお昼の準備。
しばらく待ち出来上がった昼食をみんなで囲む。
目視範囲内に街は無いし、おそらく今夜は野営だろう。
町も村も見当たらないし魔物も多くなるだろうし、それらに備える為にも。
「いただきます。」
今はしっかりと食べよう。
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