番外編 落とし魂if 未来ver
今年ももうすぐ終わりか。
早いものだな。
しかし、あまり感傷に浸っている時間もない。
何故なら、今日はこれから仕事だからだ。
はぁ〜……仕方ない事だとは分かっていても憂鬱だなぁ。
それに比べてうちの子達は元気だなぁ。
もう11時過ぎてて普段なら寝てる時間なんだけど。
でもまあ、それも仕方ないか。
何せみんな初落とし魂狩りなんだから。
「悪いな、ピュリオス。少し前にクリスマスを手伝ってもらったばっかりなのにまた頼って。」
「気にしないで。それに、僕だって弟や妹の事が心配だからね。」
「そうか……じゃあ任せたぞ。」
「任せて。父さん達も頑張ってね。」
「おう!」
本音を言えば仕事なんかせずに家族団欒をしたいところなのだけれど、この仕事はやめるわけにはいかないんだよなぁ。
何せ内容が、例年通り落とし魂関連による混乱が予想されるので、街の治安維持及び騒動の仲裁もしくは鎮圧……だからな。
初めての落とし魂狩りという事で楽しみにしている子供達の為にも、休むわけにはいかない。
「あ〜、頑張る子供達の勇姿が見たかったー!」
「気持ちは分かるけどしょうがないよ。次は別の冒険者がやってくれるし、また今度一緒に行こう? ね?」
「分かってるよ。分かってるけど感情面ではどうしても、ね。」
頼むぞピュリオス。
うちの子達が怪我しないようにちゃんと見守っててくれよ。
〜リント視点〜
もうすぐ待ちに待った落とし魂狩りが出来る。
なんか色々な物を落とすってパパが言ってて、その中にはお金もあるらしい。
そして重要なのがその落とし魂を倒して手に入れたお金は兄弟で平等に分ける必要があるけど、お小遣いに加えていいという事。
自分で使えるお金は毎月のお小遣いだけだからこういうのは嬉しい。
本当は僕も早く冒険者になりたいんだけどパパもママ達もみんなまだ早いって言うんだもんなぁ。
一緒に落とし魂狩りをするのはレンフィア姉さんとレリア、アレス、エレナ、レイル、アディリシア、リリー、ナックで、その下の弟達妹達はまだ小さいのですでに寝ている。
僕達も普段なら寝てるけど、今日はこのために昼寝をたっぷりしたからね。
全然眠くない。
ピュリオス兄さんと話していたパパ達がお仕事に出かけた。
ちあんいじ? をするとかなんとか……よく分からないけど大事な仕事らしい。
今家にいるのはリナママみたいな冒険者をしていないママ達だ。
なので落とし魂狩りにはリナママ達と一緒に行くことになっている。
それとピュリオス兄さんとピリーナ姉さんも一緒だ。
大勢の人が僕達と同じように落とし魂狩りをするので心配だとかなんとか……。
それくらい大丈夫なのに……。
そして12時になって新年になった。
「「「明けましておめでとうございます!」」」
「「「明けましておめでとうございます。」」」
挨拶はしっかりとって、パパが言っていたからね。
それに新しい年の最初の挨拶なんだからちゃんとやるべきだとも言っていた。
そのパパは仕事でいないんだけどね。
「さ、早く行こう!」
「もうちょっと、こう、風情を楽しむとかさ……。」
「ふぜい? よく分かんないけど、早く行こう!」
「あ、こら! 引っ張らないでー!」
ふぜいがなんなのか分からないけど、それよりも早く行かないと落とし魂が居なくなっちゃう!
「ちゃんと厚着しないとダメっすよ! ほら、ちゃんと上着着て、帽子も被るっすよ!」
「分かってるよ、アイリスママ!」
ちょ、ちょっと忘れてただけだし。
みんなと一緒に外に出るとすでに人がたくさん居る。
こんなに人がいっぱい……。
ちゃんと倒せるか不安になってきた。
でも頑張らないと。
全てはお小遣いのため!
落とし魂を見つけるとすぐに倒す。
でも、必ずお金を落とすとは限らなくて石とか葉っぱとかもよくある。
それに、せっかく見つけても他の人が倒しちゃうということも結構あってなかなか稼ぐ事ができない。
このままじゃ大して稼げないよ。
「思ったよりも人が多いな。」
「そうっすね。どうします?」
「やっぱり幾つかのグループに分けた方がいいんじゃないかな?」
「そうだね。子供達は9人だし3グループに分けて行動した方がいいかな。」
ママ達とピュリオス兄さんが話し合い3グループに分けて行動する事になった。
僕の所はアレスとリリー、そしてピュリオス兄さんだ。
ピュリオス兄さんは空を飛べるから落とし魂探しも楽になるかと思ったんだけど、僕達がメインだから手伝ってはくれないって。
ちょっと残念。
そうして3グループに分かれて行動する。
人数が減ったから大変になるかと思ったけど、全然そんなことはなかった。
落とし魂が弱くて1発殴ればそれで倒せるからかな。
見つける度に倒してるけど、半分くらいは他の人に倒されちゃう。
でも、それなりには稼げて、空が明るくなる頃にはポケットがパンパンになった。
それも僕だけじゃなくて一緒に行動していたアレスとリリーのポケットもパンパンになっている。
これはちょっと期待出来るんじゃないかな?
みんなと合流して後は帰るだけなんだけど、流石にみんな限界なのか1人、また1人と眠ってしまう。
みんなと合流した頃には4人寝ていて、3人が眠そうにしている。
それでこれじゃあ帰れないからとピュリオス兄さんがパパ達を呼びに行った。
寝ている4人と眠そうな3人を負ぶって帰る為に。
パパ達が来るまでもう少し待つのか。
早く……来ない……かな……。
〜レント視点〜
「で、結局走り疲れて全員寝ちゃったと。」
「そうっす。」
まあ、こんな時間だしな。
それに俺も眠いし、子供達じゃ流石に起きてられないか。
それにしてもまあ、幸せそうな寝顔だこと。
「さて、それじゃあ帰りますか。」
「うん。」
「ん。」
「そうだね。」
「あ、その前に……アイリス、リナ、ピュリオス、それにみんなも、明けましておめでとう。」
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