第954話 やっぱり俺の嫁は最高だぜ! 的なお話
蒼炎烈火がトロルを焼いているが、そこはトロルといったところか、即死とはいかず炎を消そうと暴れまわっている。
最初は蒼かった炎も、トロルの毛とそこにつく汚れや脂の影響か徐々に赤くなっていき、黒い煙も出てくる。
しかし、その燃料によって炎の勢いはより増している。
だが、致命打にはならずこのままだと倒しきれずに炎が消えて回復されてしまうかもしれない。
「油断せず確実に倒し切るぞ!」
燃えているトロルに向けて遠距離から攻撃をしていく。
蒼井は魔法銃で、ユキノは苦無、シアは弓でそれぞれ攻撃していく。
しかし俺とレイダさんは魔法しか撃てない。
しかも使えそうなのは火魔法だけなんだけど……今現在も燃えている相手に火魔法を使うというのも……効果あるのか?
なら、あれを使うか。
「せいっ!」
作ったまま死蔵していた剣や刀を投げつける。
使う用途もないし死蔵しているくらいならここで使った方がいい。
それに、金属が体内に刺さっていた方が熱伝導で内部にダメージを加えられると思う。
レイダさんはそこら辺に落ちている石を拾っては投げていく。
ただの石だが、高ステータスの人間が投げればそれは凶悪な武器になる。
地球でも昔から武器として使われてきたのが石だ。
ドゴッ! ゴスッ! バカンッ! と痛そうな音や石が砕ける音が鳴り響く。
蒼井の魔法銃、ユキノの苦無、シアの弓矢、俺の投剣、レイダさんの投石による連続攻撃。
しかし、トロルは未だ元気に暴れている。
くそっ!
まだ駄目なのかよ!?
とか思っていたら突然トロルが苦しそうに踠き、そして思い切り息を吸い込もうとして……
「ゴッホ、ゲホッ、ウボォェアッ!」
炎を思いっきり吸い込んだ。
いや、普通分かるよね?
ああ、それが分からないくらい馬鹿なのか。
元々炎によって酸欠状態だったのに炎を吸い込み体内の酸素までも消費してしまったからなのか、身動きせずバタンと倒れてしまった。
「倒した……の?」
「いや、多分酸欠で気を失っただけだ。だから今の内に首を落としておくぞ。流石に頭を失っても再生するなんて馬鹿げた事にはならないだろうしな。」
とはいっても、未だに燃えているトロルに近づいて首を落とすのは厳しい。
となればどうするか?
こうする。
「飛閃!」
斬撃を飛ばす飛閃にて首を断つ。
首がごろりとトロルの身体から離れ転がる。
暫く待ち、復活する気配がないことを確認してから消火する。
火が消えた後には毛が焼き尽くされ地肌も焼けただれた無残な焼死体が現れる。
これ、売れるかな?
そもそもトロルってどこが売れるのだろう?
骨? 目玉? 肝? それとも……毛皮?
もしも毛皮が1番高く売れるとしたら勿体ない事したなぁ。
でも5人しか居なくてあまり時間もかけてられなかったし。
まあ、誰も怪我なく済んだだけでもよしとするか。
トロルの死体をストレージに仕舞い留守番をしているみんなの元に向かう。
その道中オークの小集団とはぐれコボルト、ホーンファングの群れと遭遇し、その全てを倒した。
「蒼い炎が見えたけど大丈夫だった!?」
みんなの元に着くとセフィアが駆け寄りながら声をかけてくれる。
どうやら蒼炎烈火の炎が見えていたようだ。
まあ、最初に使えるようになった頃に比べてステータスも上がったし、それもしょうがないか。
「ああ、ちょっと大物と遭遇したんでね。みんな怪我してないし全然問題ないよ。」
「本当? 良かったぁ……。」
心の底から安心してるようで、そんな姿に俺も、心の底から嬉しいと思い幸せな気分になる。
やっぱり俺の嫁は最高だぜ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます