第925話 部屋割りでも決めようかね。的なお話
宿の中に入り受付へ行く。
相変わらず……相変わらずなのだろうか?
見覚えがあるような無いような……まあ、とにかくスーツ姿がかっこいい受付の人の所へ。
「風来亭へようこそ。」
「宿泊したいんですけど、部屋は空いてますか?」
「大丈夫ですよ。宿泊は何名様でしょうか?」
「10名です。」
「10名ですか……では3人部屋2つと4人部屋1つでよろしいでしょうか?」
「1番高い部屋は空いてますか?」
「そちらは2部屋空いてますが、4人部屋となっています。そちらに泊まる場合ですと、2名は1つグレードの落ちる2人部屋となりますが、よろしいでしょうか?」
「1番高い部屋に5人泊まる事は出来ますか?」
「2人で1つのベッドを使えば可能と言えば可能ですが……よろしいので? その部屋は部屋単位ではなく宿泊人数で費用を計算するのでその分料金が高くなりますが。」
「それで構いません。」
「分かりました。では10名様で計20万リムとなります。」
20万か。
1人2万って事ね。
料金を払うと受付の人が宿泊の手続きの準備をする。
やはり高い部屋ともなると他の宿と違って何か特別な手続きも必要なんだろうな。
「ではこちらに必要事項をご記入下さい。」
「分かりました。」
えーと、必要事項は宿泊する人数に名前、職業、それと利用規約に同意するかってのか。
利用規約は地球の宿泊施設とかでも書いたりするのだろうか?
その辺の事は全部親がやってくれてたから分からないな。
こういうのって普通なのかな?
まあ、この宿ではやる必要があるから書くけどね。
利用規約を要約すると、何かトラブルがあった時宿に責任がある場合を除き自己責任って感じかな。
客同士でトラブルがあって何らかの不利益が生じても宿側はなんの責任もないって事か。
1泊するだけだし大丈夫だろ。
同意するっと。
「当宿についての説明は必要でしょうか?」
「確認なんだけど、食事は部屋に持ってきてくれて、大浴場があり、馬車の管理と馬の世話は孤児院の子供達が行うっていう奴ですよね?」
「以前当宿をご利用した事が?」
「1度だけ。」
「そうでしたか。再度ご利用いただきありがとうございます。」
「その時は普通の部屋だったから今回の部屋についての説明だけお願いします。」
「かしこまりました。今回お客様が宿泊される部屋は当宿の最高ランクの部屋となっており、場所は最上階。部屋には専用の浴室、トイレ、洗面所が完備されており、また、各部屋には専属の者が付きますので簡単な事であればなんなりとお申し付けください。食事は朝夕共に7時にお部屋にお持ちします。食事ですが、追加で2000リム頂ければよりグレードの高い物にさせていただきますが、如何なさいますか?」
「じゃあ全員分お願いします。」
「かしこまりました。他に何か質問はございますか?」
「大丈夫です。」
「ではこちらが部屋の鍵となっております。お部屋は3号室と5号室となっております。それではご案内させていただきます。」
受付の人が案内してくれる。
受付の人は女性だけどスーツはパンツタイプなのか。
スラッとしててかっこいい。
今度セフィア達に着てもらいたいな。
「こちらにお入り下さい。」
「これは?」
「これは最上階専用の昇降機となっております。一般用通路からでは最上階には辿り着けないので、移動する際はこちらをご利用ください。」
「分かりました。」
まさかエレベーター付きの宿とは。
異世界も侮れない……というか、どういう原理で動いているんだろうな?
流石魔法という事なのだろうけど。
「こちらが3号室、そしてその向かいの部屋が5号室となっております。部屋の中のテーブルの上には呼び鈴が備え付けてあり、そちらを鳴らしていただければ専属の者が駆けつけますので気兼ねなくご利用下さい。では、ごゆっくり。」
案内してくれた人が帰っていったので早速部屋の中へ。
「うわっ! すげーな!」
寝室、リビング、ダイニングがあって凄く広い。
ここに浴室、トイレ、洗面所まで付いているんだろ?
流石に高い金払っただけの事はあるな。
さて、それじゃ部屋割りでも決めようかね。
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