第915話 次は是非リステルに出店してください! 的なお話

俺は子供の頃はともかく、日本にいた時から好きな映画とかを観た時なんかは大体パンフレットとかを買っていた。

本当に好きな作品とかだとパンフ以外にもシャーペンやボールペン、下敷きにチャームストラップとか、絶対に使わないだろうと思いながらも、好きな作品の物だからと嬉々として購入していた。


そういえば、あの時は凄かったなぁ。

魔法少女リリカルな◯はの映画の時は。

俺が観に行ったのは第2弾以降で、地元の映画館に初日に行ったけど、凄い行列でスクリーンが準備できるまで待たされた際に映画館の裏側まで列が続いていたもの。

それに小学生とかも何人か居てそれも人気の高さを物語っている。

その内の1人は俺だけど。


おまけにグッズのはけ具合が凄いのなんの。

初日ではあっても初回では無かったし、な◯は映画は初という事もあって油断してた。

映画観終わってグッズを買いに行ったら目当ての物が半分くらい無くなってたもの。

そんで泣く泣く別の物を買った。


まあ、そんな具合に気に入った作品ならグッズとかを買う。

今回は劇だしその時ほど好きな作品というわけではないけど、今は、金ならある! って状態だ。

それに劇を観た興奮なんかもあって、買いたいって衝動がある。

というわけで買う気満々だったわけなのだが……。


「何これ……?」


え、これだけ?

ショボくない?

売店で売っているのは観劇中に食べる串焼きやホットドッグ、クッキーとかに飲み物類、そして劇の原作小説。

……以上。

何も無いのだ。

グッズ類が何1つ無いのだ。

映画と劇じゃ違うし、工場による大量生産が出来る地球と違って全部手作りになるからそう数を揃えられないのは分かるけど、まさか何も無いとは……。


「どうしたの?」

「いや、なんでもない……。」


グッズが無いと言いそうになったが、この世界ではこれが普通なんだろう。

ここでグッズが無かったなんて言うのはおかしい。

今はリィナさんが一緒だからな。

リィナさんなら別に知られてもいいとは思うけど、わざわざ言う必要もないし、それで変な面倒に巻き込むのも申し訳ない。

この前も神様関係で事件があったわけだしな。


「それよりもお昼どうしようか? さっき食べたばかりだけど少なかったし時間的にもね。」

「どうしよっか? 露店で適当に食べる?」

「師匠、いい店知らない?」

「ん? そうだな……私の行きつけで良ければ案内するぞ。」

「じゃあそこで。いいよね?」

「リィナさんの行きつけのところか。いいんじゃない?」

「うん。いいと思うよ。みんなもそれでいいよね?」


みんなもそれでいいようなので早速案内してもらう。

リィナさんの行きつけか……どんな店なんだろうな?

リィナさんかっこいいからすごく雰囲気のいい店なのだろうか……それとも冒険者だから安くて美味い店なのか……あるいは隠れた名店みたいな所なのかもしれないな。


そうして案内された店はラーメン店。

ラーメン店?

あれぇ!?

というか、この店名、ヨージさんの店じゃない!?


「懐かしいだろう? 昇格試験の時に行った店で扱っていた料理、ラーメンだ。あれからここカインで2号店がオープンしてな。他の店もラーメンを研究し独自に開発し今ではこの街にラーメンブームがまき起こされるまでになったのだ。無論、ラーメンとは名ばかりの偽物も多くある。ラーメン発祥の店の2号店では行列が絶えないからそちらは無理だが、ここは私が食べ歩いた中でもなかなかの完成度を誇る店でな。だから安心していいぞ。」


うわぁ……まさかカインがそんな事になってるとは。

というかヨージさん、いつの間に異世界文化ハザードなんか起こしてたんですか。

次は是非リステルに出店してください!

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