第901話 雨以外は気楽な初日だった。的なお話
朝……なのか?
朝なんだろう。
朝か……。
なんだろう?
今日の為に早めに休むはずだったのに何故かまだ疲労感があるよ……。
不思議だな〜、今日から馬車での移動になるのに。
はぁ……。
それに、この惨状、どうしよう?
メイドさんに任せるのは申し訳ないし、やっぱり前みたいに自分達で軽く処理しておいたほうがいいよな?
朝から疲れる……。
みんなを起こして処理をしてから朝食へ。
無駄に疲れたからせめて食事くらいはしっかりととっておこう。
普段はあまりしないがお代わりを少々。
そうして朝食を終えるタイミングでリゼットさんがお昼用にとお弁当を作って来てくれた。
これはありがたい。
ちゃんと人数分あるし、素直に感謝だ。
お礼も忘れずに。
準備を終えいざカインへ、と屋敷を出た所で空から雨がポツリポツリと。
最初はポツリポツリとだったが、次第に強さを増していく。
「雨だね。どうする? 私としては今日も泊まってくれてもいいんだけど。」
「いや、行きますよ。時間的余裕もあまりありませんし、出来るだけ距離を稼いでおきたいですから。まあ、それでも雨ですからね。休憩は多めにするつもりです。」
アルバ達を濡らし続けるのがいいのか悪いのか分からないが、体を冷やすのはあまりよくは無いだろう。
多分。
休む時は火を焚いてあったまれるようにした方がいいかもな。
「それがいいよ。」
「所で、仕事の方はいいんですか?」
「あ、あんまり良くはないけど、見送りは大事だから……。」
……後でエリーナさんに怒られそうだな。
「それじゃ、行って来ます。」
「うん、行ってらっしゃい。」
「2人も、風邪とか引かないよう気をつけて。」
「それはレントさんもっすよ。」
「お身体には気をつけて。」
3人に……一時の別れの挨拶をする。
後ろにメイドさん達にハラルドさん他若い執事っぽい人とかが並んでるけど、メインは3人だから3人なのだ。
エリュシオン邸を後にし、レイランで馬車と馬を回収してカインに向かう。
最初の御者はレイダさん。
残りのメンバーは馬車の中で待機だけど、野生の魔物や野生の盗賊が襲ってくる可能性があるのでいつでも戦闘が出来るようにしておく。
具体的には武器の携帯。
あとは楽な姿勢でいる事。
楽な姿勢って言っても、寝こけてしまうような姿勢はどうかと思うけど、これ割と重要な気がする。
座り方が悪くて足が痺れた、なんて事になってる時に盗賊が襲って来てやられました……なんて、目も当てられないよ。
というわけでそういう事がないような姿勢で待機してる。
しかし、何もない中でひたすら待機するというのも辛い。
となると、自然とこうなってくる……。
「さて、今日は何見る?」
「昨日見終わったから新しいの。」
「昨日のは戦闘が派手だったからのんびりしたのがいいです。」
気配察知持ちが3人(リリン、ユキノ、蒼井)居て、更に盗賊に気付ける悪意感知(俺)、敵の攻撃を本能的に感じることができる闘争本能(レイダさん)っていう、半数が感知系スキルを持っているというのも大きい。
周囲の存在の気配を3人が感じ取り、例え気配を消すことのできるスキルがあろうと悪意を持っている者を感じられ、悪意すらも消せるような奴が居て奇襲を仕掛けて来ようと本能的に攻撃を感じ取る事が出来るのだ。
そりゃアニメ見ようという気にもなるよ。
それにまあ、通るのは主要街道。
危険な魔物なんてそうそう現れないし、盗賊も狙いにくいはずだ。
そんなわけでアニメを見だすみんな。
俺ももちろん見るよ。
だって馬車の中って割と暇なんだもの。
移動は約半月程。
その間ずっと話すなんて難しいだろうし。
そんな中アニメという娯楽を与えられたのだ。
見ないわけがない。
途中こまめに休憩を挟みつつ順調に進んで行き、まだ雨も降っているからと早めの野営となった。
道中野生の魔物や野生の盗賊が現れる事はなかったし、雨以外は気楽な初日だった。
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