第890話 なんか一気に疲れたよ。的なお話
朝……なんだろうか?
帰った……じゃない。
エリュシオン邸に着いたのが1時近くでそこから夕食、いや、夜食か?
とにかくご飯食べてお風呂入ったりとなんだかんだあって2時過ぎになったせいで気付けば今午前11時46分。
お昼目前だが一応はまだ午前。
朝で……いいのかな?
ま、いいや。
朝で。
いい目覚めだ。
なんだかんだ10時間くらい寝たけど、昨日はいろいろあったしそれまでもダンジョンに潜っていて睡眠時間や質が落ちていた事を考えれば10時間程度で済んで良かったよ。
どっかの誰かさんは前にもっと寝ていたような気がするし。
「ん? 11時46分? ああああああああああああああ!!!!」
しまったー!
今日の昼にギルドで話をって言っていたじゃないか!
やばいやばいやばい!
完全に遅刻だ!
今すぐ着替えて……朝食は……そんな暇ない!
顔は……
「うわっ!」
ーービタンッ!
「アイタッ!」
ベッドから落ちてしまったが、お陰で完全に目が覚めた。
着替えと顔を洗ったらすぐにギルドへ、だな。
「レントさん! 大丈夫ですか!? 今大きな音……が……」
心配してくれたのだろうイリスさんがドアから駆け込んできた。
その結果着替えようと服を脱ぎ始めたばかりの俺と鉢合わせしたわけだが、普通逆じゃない?
やはりここはキャーとか言ったほうがいいのだろうか?
それともポージングでもした方がいいのだろうか?
なんか腹斜筋に視線が注がれている気がするし。
って、そんな場合じゃない!
「部屋の外で待っててください!」
「あ、はい! すみません!」
急いで着替えて部屋を出て事情を説明する。
そして情報料についての話をするにしても、ユーリ達の方でも誰か来ている方がいいだろうと思い、イリスさんも連れて行くことにした。
ユーリとレヴィでも多分大丈夫だとは思うけど、それでもイリスさんの方が安心できる。
顔を洗った後急いでギルドに来たわけだけど、やはり遅れてしまった。
時間が惜しくて顔を洗うだけで寝癖は溶かしてないから少し恥ずかしい。
周りを見渡してみたがナタリアさんもアデラードさんも見当たらない。
となると、あっちかな?
「あの、勝手に中の方に入っちゃっていいんですか?」
「いいのいいの。多分アデラードさんはこっちにいるだろうし。」
中の方にまで入って行くから怒られるんじゃと心配するイリスさんだけど、生憎俺にとっては今更なんだよね。
ギルドマスター室はしょっちゅう行ってるし。
「あ、来たね。事が事だけに外で話すわけにはいかないからさ。ここで話させてもらうよ。所で、他のみんなは?」
「多分まだ寝てるんじゃないかな? 俺もその、実はさっきまで寝てまして、それで慌てて来ました。」
「でしょうね。寝癖、ついてますよ。」
「分かってるんですけど、時間がなくてね。」
俺は遅れて来たというのに、ナタリアさんは流石というかなんというか……既に居て優雅にお茶とか飲んでる。
「じゃ、早速始めようか。といっても大体終わってるんだけどね。情報の内容は記録結晶についてで、その効果は記録してある階層まで一瞬で移動できる事。実験した結果記録した階層の入り口に転移する、でいいんだよね?」
「レントさんがそう言ってました。ですよね?」
「はい。」
「所有者に関する事とか使い方とかは既に知ってるから置いといて、出現した場所は20階層のボスの討伐報酬だって? だから多分他の階層のボスの所でも出るんだろうね。情報としてはこんなもんかな?」
「そうですね。あ、これ一応説明書です。」
「こりゃまたご丁寧な事で。」
なんか、2つ目の方にも説明書ついてたんだよね。
となると、出る度についてくるのかな?
それとも最初だけ?
ま、それはおいおい分かるか。
「情報としてはかなり重要だからね。午前中に話し合った結果2000万くらい出そうって話になったよ。実物があればもっと良かったんだけど、それはナタリア達が使うんだよね?」
「はい。」
「それで情報料が紅玉とイリス達で折半でいいんだよね?」
「はい。」
「えええええええええええええええええ!?」
「というわけではいこれ。それぞれ1000万ずつ入ってるよ。後で確認しておいてね。」
「分かりました。」
「い、いっせ……いっせん、1000万……。」
「ありゃ、放心しちゃってるよ。レントちゃんと説明した?」
「一応は……あ、そういえば値段については一切話してなかった、かな。」
「まだDランクなのに突然1000万も手に入れるってなったらそりゃそうもなるよ。」
「ですわね……。」
「いや、俺のせいみたいに言ってますけど、昨日言ってたのよりも値段倍になってるじゃないですか!?」
「まあ、頑張ったからね。」
「ドヤる所じゃないですから……。」
イリスさんが再起動するのに時間がかかり、再起動した後もパニックになってしまい、落ち着かせるまでに更に時間がかかった。
2人とも手伝ってくれないせいで、なんか一気に疲れたよ。
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