第861話 おやつタイムは過ぎていく。的なお話
おやつタイムと言った(言ってない。思っただけだ)が、さてどうしようか?
ちょっと高めの紅茶は問題ないけど、おやつの方に問題が。
確か今1週間くらいだよね?
俺のストレージは特別製で時間停止能力もあるから傷まないけど、普通のアイテムボックスはそうはいかない。
果たして、何を出したら不審がられずに済むのだろうか……?
「何にしようかな?」
確かアイテムボックスは時間進行速度を1/LVにするはず。
蒼井のアイテムボックスはLV6だったから現在は普通に比べて内部の時間進行速度は1/6だ。
蒼井の場合は内部で1日経過したことになるが、俺のはどうしよう?
とりあえずLV10って事にしとくか?
その場合ならばまだ余裕があるし。
というわけで……。
「アポーパイにしよう。」
流石にケーキ類は厳しいかもと思いやめた。
さらに時間が経ったら果物、クッキーやクラッカーと徐々に日持ちするものに変化させないとな。
この辺は合同で依頼や探索をする時不便だな。
でも人数が増えれば安全性も高まるから、合同で受ける事に反対はしない。
セフィアがお茶を淹れてくれている間に俺はアポーパイを切り分ける。
しかし、アポーパイだとより欧米っぽさが増すなぁ……単純にアポーのパイなんだけどさ。
「ふぅ……。お茶が美味しい。」
「ありがと。」
「ねぇ、そっちの奴の方が大きくない?」
「ちょっとしか違わないだろうに……なら交換するか?」
「いいの? 後でやっぱ無しって言っても遅いから。」
「いいから、早くそっちの渡してくれ。」
お茶を飲んでまったりしようとした時に蒼井が文句を言ってきた。
サイズを均等に測る道具があるわけでなし。
全部目分量なので当然サイズに違いが出るわけだけど、それでどっちが大きいと言うとか子供かよ。
でも、なんだかこういうのがいい感じというかいい気分だ。
「ユウキちゃんらしいね。」
「だな。でも、なんだかこういう時間が久しぶりで、少し楽しかった。」
「何があるかわからないからあんまり騒げないもんね。」
「移動中もあんまり話せないし、野営をするにしても睡眠時間確保のために早めに寝てたからな。」
休憩中は休憩中でポ◯リ擬きを催促されたり、装備の手入れをしたりとそこまで時間があったわけじゃないからな。
こうして日常を出すのは久しぶり。
……まあ、まだ1週間なんだけどさ。
「美味しそうですわね。」
「まだあるんで食べますか?」
「いいんですの? では遠慮なく。」
「あ、私にも頂戴!」
「レントさん、あの、出来ればでいいんですけど、その、私にも分けてくれませんか?」
騒いだからか、あるいは匂いがしたからなのかは分からないが、天装さん達とユーリ達がアポーパイに食いついた。
みんな女の子だしね。
甘いものが出てくれば当然食いつくよね。
「新しいの出しますんで少し待っててください。」
ストレージから別のアポーパイを取り出して切り分ける。
ストレージが容量無限だからついつい買いすぎちゃうんだよね。
うち女の子ばっかだから甘いものは基本ウェルカムなのも買いすぎてしまう原因の1つ。
「それはそれとして……なんかこっちから提供するもの多くないですか?」
アポーパイをナタリアさんに手渡しつつそう聞いてみた。
「え、あー、その……だって、美味しそうなものばかり出しているんですもの……。」
……いつものオーラはどこに行った?
そう言いたくなるくらい照れて視線を外すナタリアさん。
というかかわいい。
やはり貴族の出だろうと、高ランク冒険者だろうと女の子。
甘いものはお好きなようです。
「あ、でしたら今夜はこちらが夕食を用意するというのはどうでしょう?」
「え……別に、それは構いませんけど。」
「では決まりという事で。なので、その、今後もよろしくお願いしますわ。」
「あ、はい……分かりました。」
なんか、今後も甘味を提供するという流れになってしまった。
まあ、またこちらが出し過ぎだと感じたらまた言えばいいか。
そんな感じでのんびりまったり、ほんの少し騒々しくおやつタイムは過ぎていく。
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