第822話 相変わらず親衛隊の行動力半端ねぇな。的なお話
さて。
話が一区切りついたんだけど、次はどうしようか?
個人情報に関する事は聞き辛いし本当にどうしよう。
やっぱりそういう風に見られるのは勘弁なのでもう話題が思いつかない。
いや、冒険者なんだし、魔物とか依頼に関する話なんかは腐る程あるだろう。
俺はそこまでは無いけど。
この世界に来て2年半かそこらなので。
でも相手貴族だし、女性なんだぞ。
そんな人相手にそんな血なまぐさい話を振るのはちょっと……。
そんなわけで話す事が全く浮かばない。
いっそのことナタリアさんから話題を振ってはくれないものだろうか……。
そんな時に神が舞い降りた。
「レントさん。」
「はい。……話し声ですね。」
「ええ。人数は……3人?」
「一応警戒しておきましょう。みんなは起こしますか?」
「いえ、まだ必要はないでしょう。相手は3人ですから私達ならばおきてくるまでの時間稼ぎくらい出来るでしょうし。」
「まあ、よっぽどの相手じゃない限りそうそう負ける事はないとは思いますけど。」
そしてよりはっきり聞こえてくる声。
「もうー! セフィアちゃん一体何処にいるのよー!」
「おいユーリ、まだセーフティーエリアじゃないんだぞ。あんまり騒ぐなよ。」
「でも、折角ダンジョンに行ってる事を知れたんだよ? やっぱり早く会いたいじゃない!」
「気持ちは分かるけど、もうすぐだから、少し落ち着こ、ね?」
神じゃなかった。
親衛隊員だった。
というかユーリ達だ。
「どうしました?」
俺が警戒の為に剣にかけていた手を降ろすとナタリアさんが聞いてくる。
「えーと、一応知り合いです。」
俺がそう言うとナタリアさんも警戒を解き槍から手を離した。
「あー! いたー!」
「何!?」
「あ、レントさん! ここに居たんですね!」
「お、おう。」
「ねえ、セフィアちゃんは?」
「寝てる。だから静かにしろ。」
「あ、うん。」
「あ、ナタリアさん。こいつらは右からユーリ、レヴィ、イリスさん。で、3人ともセフィアの追っかけです。」
「お、追っかけ……?」
「ちょっ、私達はセフィアちゃんの親衛隊よ!」
「とまあ、こんなわけで悪い奴らじゃないです。……悪い奴らではないんだけどなぁ……。」
「えっと……お疲れ様です。」
「で、この人はナタリアさん。クラン【天装の姫】のクランリーダーで今一緒に迷宮探索をしている。」
「私達も誘ったのになんで!?」
「なんでって、なんとなく? こう、話の流れで? 11階層からは罠が出てくるって話で、それで経験者でそこよりも先の階層に行っているナタリアさん達に罠のある場所での対処法なんかを実地で教わるってなったんだよ。その辺はお前らじゃ無理だろ?」
「そうですね。私達ではまだ罠に対処する技術もないですし。しかし、そうなると今後の事を考えないといけないかも。」
「まあ、考えるのはまた後にしなよイリスさん。詳しい話とかはまた明日にして、今はテントの設営とか明日に備えたほうがいいんじゃないかな。」
「あ、そうですね! ありがとうございます、レントさん!」
ちょうど話が途切れて困ってたということもあるし、長々とガチャガチャ音を立てられるのも警戒的にも嫁達の安眠的にも困るので野営の準備を手伝う。
その際にどうしてここに居るのかを聞いたところ、予想通りの内容だった。
俺達がダンジョンに挑むと離しているところを偶然見かけて、慌てて準備して来たそうだ。
ここに着くのが遅かったのはそういう理由でスタートが遅かったからのようだな。
というか、相変わらず親衛隊の行動力半端ねぇな。
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