第820話 こそばゆい感じですわね。的なお話
〜ナタリア視点〜
今日から【
なんですか、あのとんでも魔道具は!?
迷宮探索の歴史が変わる大発見ですわよ!?
一体どこで手に入れたのか問い質したい衝動をぐっっっっっっと堪えて冷静な判断を下した自分を褒めたい気分です。
その後にも、リリンさんの気配察知能力に処理能力、謎の飲み物、挙げ句の果てに野営の概念を壊すテント設営。
最後には遂に叫んでしまいました。
「にしても、今日のお嬢は普段よりもはっちゃけてたね。」
「そうだな。いつもならもう少し冷静だったんじゃね?」
「最後のあれは仕方がないじゃないですか。普通あんなの予想できませんわ。」
「……ナタリアが普通って言った。こんな日が来るなんて……。」
「私を非常識みたいに言わないでください! ……それで、1つ頼みがあるのですが、いいでしょうか?」
「なんだ?」
「見張りの件ですが、向こうがレントさんの時に私がするようにして欲しいんですの。最初ならそのまま、そうでないなら、先に向こうに交代してもらい、レントさんが出て来たら起こしてください。」
「それくらい別に構わないが、何故だ?」
「合同での迷宮探索を受けてくれた礼を言いたいだけですわ。」
「本当にそれだけ? 何か他にも理由があるんじゃない? 恋愛的な何かがさ。」
「ありませんわよ、そんなの。」
「本当に〜?」
「ええ。それよりも早く着替えましょう。あまり待たせるのも良くありませんわ。」
そうして汚れた服を変え、見張りとなったのですが、まさか一番手がレントさんとは……。
お願いが無駄になってしまったわね。
まずは冷静に……
「あら、あなたが一番手ですの?」
「はい。といっても、適当に決めただけなんですけどね。」
「こちらも似たようなものですね。」
嘘です。
お願いしました。
一緒になるようにと画策してました。
「そういえば、今回はありがとうございます。」
「なんの話ですか?」
「一緒に迷宮に挑んだ事ですわ。メンバーは優秀、人数も十分。わざわざよそのパーティと組む必要なんてないでしょう? 報酬の分配や人間関係で揉める可能性もあるのに、受けてくれたので、そのお礼です。」
「別に気にする事じゃないんですけどね。そもそも、俺達ってよそのパーティと一緒にって事、全然無いんですよ。だから、そういうのに興味は元々あったんです。でも、嫁達に色目とか使われたくなくて、俺のわがままで男のいる所とはあんまり関わろうとはしなかったんです。まあ、そのせいで男友達が少ないんですけどね。」
「でも、ルーカスの所とは一緒な事もありましたわよね?」
「それはたまたまアデラードさんからの依頼で一緒になっただけで、率先してって事じゃないですよ。」
「じゃあ、それが無ければ……?」
「多分、ギルドで見かけたことあるかも……くらいの認識で終わってたと思います。」
「では、私達と一緒に組んだのは女性のみだからですか?」
「その通りですね。嫁達に手を出される可能性が無いですから。」
なんだか、少し悲しいですわね。
私達が評価されたわけではなく、たまたま女性のみだっただけで、他に女性のみのパーティがあればそっちでも良かったわけですものね。
「ああ、でも今は違いますよ。ナタリアさんの女性冒険者のためにっていう信念は素晴らしいと思いますし、ナタリアさん達の人柄も好感が持てます。……あ、いや、1人を除いてですけど。」
「ぷっ……。ルーニャのことですね。」
「ええ、まあ……。後は、人付き合いって、一緒に居て楽しいかどうか、苦じゃないかどうかっての、結構重要だと思うんですよね。その点、ナタリアさん達は一緒に居て楽しいですし。なにより、ナタリアさんって貴族なのに全然偉ぶってる感じとか無くて、でも貴族らしい格好良さとかもあって、そういう所が好きですね。」
「そ、そそそ、そうですか……それは、その……光栄です。」
なんでしょう、この感じ……。
ちょっと気恥ずかしいというか、こそばゆい感じですわね。
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