第819話 警戒しておくに越したことはないだろうしね。的なお話

時刻は午後7時過ぎといったところ。

もしも階段前の所まで行っていたら9時近くになっていたかもしれない。

ナタリアさんの言う通りセーフティーエリアで野営する事にして良かったな。


野営の準備として先ずはいつも通り食材と調理器具を取り出す。

それが済んだら寝床を作る。

いつもは割と適当だけど今回は他の人もいるのでしっかりと作る。



「ふぅ……。出来た。」

「出来た。じゃない! なんですの、これは!? 普段どんな生活してるんですか!?」


ナタリアさんが絶叫してる。

まあ、気持ちは分かる。

俺も誰かがこんな寝床を作ってたらツッコミざるを得ない。

でもまずはこれを言っとかないとな。


「いくらセーフティーエリアでも騒ぐのはやめた方がいいと思いますよ。」

「あなたがそれを言いますか!?」


うん。

頑張り過ぎた。

頑張り過ぎた結果、無駄に優雅なキャンプみたいな感じになってる。

ぶっちゃけるならセフィアに土魔法でベッドとかも作ってもらい、その上に毛布とか掛け布団とかセッティングしてるし、椅子とかも座り心地抜群のやつだ。

はっきり言ってもはや野営ではなくグランピング? なんかそういうのになってる。

内装も割とこだわってる。

更にぶっちゃけるなら10分くらい前に夕食も出来てる。

熱中しちゃった。


「まあまあ、それよりも早く晩ご飯を食べよ? ね?」

「はぁ……。もういいですわ。」


セフィアが取り成してくれた。

そのおかげで落ち着いて夕食を食べることができたが……明日はもっと加減しよう。

俺も途中でこれはなんでもやり過ぎだろとか思ったけど、なんか辞めどきが分からなくて……。


そんなひと騒動があった後、身体を拭いたり、防具を脱いだり、着替えたりをする。

……分かってはいたが、凄い状況だよな。

自分以外全員女性で近くで着替えをしてるんだよ。

これって色々と凄い状況だし、誰か……例えばルータスさん辺りにでも知られたら発狂しちゃうんじゃないか?

流石に着替え等は交代して行ってるけどさ。

照明で影が映ってるけど見ないようにしないとな。


「ちょっといいですか?」

「なんですか?」

「夜の見張りについてですが、各パーティがそれぞれ1人ずつ出し、2時間交代で計8時間やろうと思うのですがどうでしょう?」

「1人ずつ? 全員で交代してやらないんですか?」

「ええ。一応20階層までと決めていますがどうなるか分かりませんし、長引く可能性がありますから、一晩しっかりと休める者がいた方が良いですし、私達は普段からそうしているんですの。それに、ここはセーフティーエリアで幸い出入り口は1つ。見張りは2人もいれば十分でしょう。」

「途中で起きるよりもしっかりと寝た方が疲労も回復しますし、長期間の活動を考えるならそうした方が良さそうですね。分かりました。こちらもそうします。」

「ありがとうございます。では、10時から始めるという形でお願いします。」

「分かりました。」


となると、見張りは4人か。

誰がいいかな?

出入り口1つだけだしリリンを頼る必要は無いよな?

日中は大活躍だったわけだしここは一晩ゆっくり休んでもらおう。

そんでセフィアとルリエにも休んでもらおう。

この2人は食事作りでメインになる事も多いし、休める時に休んでて貰いたい。

決して、嫁さんだからと依怙贔屓してるわけじゃない。


残りの気配察知持ちの2人にも休んでもらおう。

明日以降も休む場所が出入り口1つだけとは限らないし、2人にはそういう時に頑張ってもらうつもり。

だから5人抜く。

俺は確定として、残りは……レイダさん、シア、アカネに頼むか。

順番は適当でいいや。

俺、レイダさん、シア、アカネの順番にしよ。


「あら、あなたが一番手ですの?」

「はい。といっても、適当に決めただけなんですけどね。」

「こちらも似たようなものですね。」


運よくなのか、天装さん達の一番手はナタリアさんだった。

それはそれとして、とりあえずまずは鳴子でも仕掛けましょうかね。

多分何も無いだろうけど警戒しておくに越したことはないだろうしね。

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