第815話 頑張ってこよう。的なお話
うーむ……どうしよう?
とりあえずギルドにでも行けばいいのかな?
ダンジョンに潜るのなら探索予定表を書かないといけないしギルドに寄るというのはかくていだから。
ただ、その前にどこかで集まって持ち物の確認をしようとか予定していたらどうしよう?
それに、ギルドに集まるとしても時間は?
本当に、どうしたものか……。
「あ、そうそう。集合はギルドのロビーに8時だって。だからこのまま行けば問題ないわよ。」
はい?
なんでアカネが集合場所と集合時間を把握してるの?
「この前の飲み会でナターシャが言っていたわよ?」
「ナターシャって誰?」
「ああ、ナタリアのことよ。ナターシャはナタリアの愛称よ。」
「シャはどこから来たんだよ!?」
「さあ? そういうものらしいし、家族にもそう呼ばれてるそうよ?」
シアはアレクシアの最後のでエルナはルナ。
アデラードさんのアデルというのも合ってるかは分からないが綴りはaderardとかその辺だろうから最初のaderから来てるのだろう。
だが、ナターシャは全く分からない!
いや、そういうもんなんだろうし、気にする無駄なんだろうけどさ……でも気になる。
本当に気になるがそれは置いておこう。
どうやらアカネが飲み会の時に事前に聞いていたようなのでその情報通りの時間である8時にギルドのロビーに間に合うように移動する。
ま、アカネの言う通り普通に移動するだけで十分間に合うんだけどね。
ギルドに着くと既にナタリアさんら天装の姫が集まっていた。
「お待たせしました。」
「いえ、時間には十分間に合ってますので気にすることはありませんわ。それよりも、探索予定表はこれで大丈夫かしら?」
「えーと……。」
探索予定が4週間で余剰日が1週間。
で、捜索希望に丸。
名前は書かれてないけど、そこは自分でということなのだろうし、聞きたかったのは日程の方だろう。
「大丈夫そうですね。」
「では、後は名前をお願いしますわね。」
記録結晶があるので半分近く短縮出来るだろうけど、まだそれの事は伝えるべきではないので4週間で問題ない。
多少帰還が早まっても周囲には予定より早く進んだと言えばいいだけだし。
俺が代表してみんなの名前を書き、最後に書き間違いがないかを確認してからナタリアさんに探索予定表を返す。
「では、私達はこれを提出して来ますわ。そちらは……見送りの人達と挨拶でもしておいてくださいませ。」
一緒に来たアデラードさん、リナさんがまだ仕事に移らず、そしてアイリスさんも居る事だし分かるか。
気配り感謝です。
「それじゃみんな、渡したいものがあるから一度私の部屋に来て。」
渡したいもの?
餞別の品かな?
「気を付けて行くんだよ。レントはみんなのリーダーだからちゃんと守ってあげてね。そしてみんなはレントを支えてね。レントはちょっと抜けてるところがあるし。」
「ちょっ、アデラードさん……。」
抜けてるところがあるというのには同意だがそこは普通に見送って欲しかった。
「もちろんだよ。」
「ん。任せて。」
「分かってるわ。」
みんながアデラードさんに返事をする。
1人くらい抜けてるという部分に反論してもいいんだよ?
「みなさん、無茶だけはしないでくださいね。無事に帰ってくるのを待ってますから。」
「「「「はい!」」」」
リナさんの言葉にみんなは声を揃えて返事をする。
「私ももちろん心配してるっすから、無事に帰って来て私を安心させて欲しいっす。後、頑張ってください!」
「もちろんだ。な、みんな?」
アイリスさんの言葉に応え、みんなに聞けば当然だとばかりに頷く。
そしてギルマスの部屋に入るとアデラードさんは棚からゴソゴソとやり何かを持ってくる。
「はいこれ。まずは20階層までの地図だね。例のアレがあるからもしかしたらもう少し先に行くかもしれない可能性を考えて30階層までの地図も渡しておくね。そしてみんなに状態異常耐性が上がる指輪と状態異常回復薬。罠の中には状態異常を誘発する物もあるから注意してね。」
「「「「ありがとうございます!」」」」
アデラードさんの地図は色々と書き込みがあって非常に助かる。
また何か試験的なことが書いてあるかもだけどそれは構わない。
むしろ油断が減るのでいいと思うしな。
状態異常耐性を上げる指輪だが、俺と嫁3人は恩恵の影響で耐性が上がってるが絶対じゃないし、少しでも上がるのはありがたい。
俺達でそれなのだから加護のままのみんなはよりありがたいというもの。
更に万が一の時にも薬を貰えるというのだから尚いい。
セフィア達も買ってるけど少なくて多困るよりも多い方がいいしね。
「後、レントにはこれもね。ちょっとしゃがんで?」
「え、こうですか?」
あ、ひょっとして。
「チュッ……えへへ、それじゃ、行ってらっしゃい。」
「「あーーーーー!」」
やっぱり。
前にもこうしてキスをしたからね。
ただ、その時とは違って今回はちゃんと前回の反省を生かして背伸びしようとするのではなく俺にしゃがむように言ってきた。
「レントさん! 私も渡し忘れてたものがあるっす!」
そう言うや否やアイリスさんは立ち上がった俺に抱きつきキスをする。
その時間は1、2秒。
アデラードさんがやったから自分もと思ったのだろう。
「その、失礼します!」
最後にリナさん。
リナさん!?
その時間は1秒にも満たないだろう。
唇が軽く触れる程度だけど、重要なのはそこじゃない。
「えと、私のファーストキスです。」
そう。
初めてなのだ。
今までそういうことどころからキスすらしてなかったのだから驚くなという方が無理がある。
「本当は帰ってきた時にしようと思ってたんですけどね。レントさん、みなさんも、行ってらっしゃい。」
「行ってきます。」
リナさんの初めて(キス)ももらったんだ。
頑張ってこよう。
そして俺達は天装さん達と合流しダンジョンへと向かった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます