第792話 心が折れそうだ……。的なお話

朝。

部屋に押し込まれ、そのまま襲われて、気付けば朝である。

いや、いつの間にか寝てたんだけどね。

流石に眠いから朝までとはいかないよ。

ちなみに、アイリスさんとアカネは気付かぬうちに混ざってた。

一体いつ混ざったんだろうか……?


そんなわけで朝食は少し遅れ気味。

といってもまあ、少しだから。

あんまりのんびりしなければアデラードさんやリナさんが遅刻遅刻〜って慌てる事にはならないだろう。


「アイリスは今日から忙しくなりそうだね。」

「そうっすね〜……お客さんが来てくれるのは嬉しいんっすけど、一度に来られるのはちょっと……。」

「そのうち慣れるよ。それまでの辛抱だね。」


まあ、今回はDランク相当のみだったから前回よりは人が少ないはず……。

というわけで頑張って!

ダンジョンに挑むからその前に装備のメンテとか頼むけど。


「そういえば、ナタリアさん達のクランハウスってどこか分かります? ダンジョンに挑める事になったから話とかしたいんですけど。」

「ああ、それなら広場の十字路を東に行って、そこからしばらく行くと左側にあるよ。でも分かりづらいだろうし……ちょっと待ってて。今地図描くから。…………………………出来た。はいどうぞ。」

「ありがとうございます。」


でもこれ、簡単に教えちゃっていいんだろうか?

いや、その辺はちゃんと考えているはず。

きっと人柄とか把握して悪用しないと信用してくれてるからだろう。

うん。

失くさないようにしよう。

誰かに拾われたら大変だし。


そして朝食を終え、準備を終えてエリュシオン邸を出る。

服装はちょっといい目の奴でセフィア、リリン、ルリエコーディネートである。

うん。

俺自分のファッションセンス自信ないもん。

一応クランハウスを訪ねるんだしそれ相応の格好をしたほうがいいと思って着替えた。


「それじゃ、今晩はブルシチューだから早く帰って来てね。」

「あ、はい。……いや、そうじゃない。今日も泊まるんですか?」

「え、ダメ?」

「ダメじゃないですけど……。」

「ならいいじゃない。」

「いいのか……? いやでも……うーん……?」


あんまりお世話になり過ぎるとヒモみたいで居心地悪いんだよね。

でもアデラードさん的には少しでも一緒に居たいって事なんだろうし……。


「えと、じゃあ、今日もお世話になります。」

「うん。」


まあ、もう1日くらいならいいよね。


「それじゃ、私達はこっちだから。」

「はい。また後で。」

「うん。また後で。」


アデラードさん、リナさん、アイリスさんと別れて俺達は【天装の姫】のクランハウスへ。

アデラードさんが描いてくれた地図は分かりやすい。

目印となる物がどこにあるのか描いてあるし道もしっかりとしている。

アニメとかだと地図が下手過ぎて迷うってのがあるけど、そうはならなくてよかった。


「お、ここか。」


目的地に到着したが、クランハウスというだけあって大きい建物だ。

なんか、緊張するな。

というか、今更だけど男子禁制のクランハウスに俺が来ても良かったのか!?

セフィア達に任せたほうが良かったんじゃないだろうか!?

だがここまで来てしまったし……えーい!

男は度胸だ!

別に入らなければいいんだ!

外で話せばそれでいいはず!


ーーカンカン!


ノッカーを叩き来客を伝える。

出来れば知ってる人が出てくれると嬉しいな。

しかしその期待は叶うことはなかった。

出て来たのは、いつだったか調査の為に合同で依頼を受けた際に男に対して毒を吐きまくった、男嫌いの子だった。


「はい……ゲッ! 男じゃない。何の用よ? というか用があっても来ないでくれる? 後、空気が汚れるから息しないでくれない?」


心が折れそうだ……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る