第635話 こんなんで実感するのも変な話だけどさ。的なお話

昼食を食べ終わったので街をプーラプラ。

アイリスさんはお店があるので店まで送ってある。

そして、午後は特に予定とかなかったけど、ちょうど外に出ていることだしということで、ダンジョンに潜っていた間に消費したあれやこれやを補充する。


まずは食材。

複数の店を周り、嫁達が品質と値段を品定めしながら購入していったものをせっせ、せっせと、ストレージにしまっていく。

俺の横ではいざという時の為に購入しているアイテムボックス用の物を蒼井とユキノもせっせ、せっせとしまっている。


そうして、ある程度購入したら次は調味料。

先ほどと同様にしまい、続けて露店を巡っていく。

こっちの方はそこまでたくさん消費したわけじゃないけど、そこそこ減っている。

出来合いの物だから食材よりも傷みやすいので俺のストレージのみにしまう。


さて、次は……。


「あー、疲れた。……ん? お、レントじゃねーか。」

「え、ああ、カルロか。どうした?」

「いや、特に何かあったわけじゃねーけどよ。でも、知り合いを見かけたら声くらいかけるだろ?」

「相手の様子にもよるが、まあ、そうだな。」


相手がデート中なら気を遣って声をかけないかもしれないし、他にも理由があって声をかけないかもだが、そうじゃないなら声をかけるかな。


「そういえばさっき疲れたって言ってたけど、何かあったのか?」

「じゃんけんに負けちまってな……酒の買い出しだ。」

「あー、それ全部酒なのか。そりゃ疲れるわ。」


カルロはトートバッグのような袋を両手に1つずつ持ってるが、それ全部酒に酒の瓶が入ってたら、疲れるのも仕方ない。


「カルロ達が帰って来たのって今日くらいだろ? 普通に休まないのか?」

「だからこそ、こうして酒の買い出しなのさ。この後みんなでパーっとやって、そんで爆睡だ。」

「なるほど。なら急がなくて良いのか? カルラさんに怒られるぞ。」

「げっ! じゃ、じゃあ、俺はもう行くぞ。」

「ご冥福をお祈りしておくわ〜。」

「勝手に殺すな!」


パシロ……じゃなくて、カルロがツッコミを入れながら走り去っていった。


「さて、それじゃ次に行くか。」


次に行くのは道具屋。

道具屋で買うのは薪。

野営の際にそれなりに消費したからな。

まだ余裕があるけど、買えるときに買っておく。

ついでに、鳴子も増量しておく。

この間のは流石に特殊だとは思うけど、今後はセーフティーエリアにたどり着けなくなるかもしれないし、出入り口が複数ある部屋の可能性もある。

そうでなくても、魔物や野生の盗賊などによって壊される可能性もあるから余分に持っておいた方がいいだろう。


「これで補充するものは全部済んだけど、これからどうする? このまま帰るか?」

「そうだね。本当は新しい服とか見たいんだけど、そうするとアデラードさんが来ちゃいそうだしね。」

「そ、そうだな。アデラードさんを待たせるのもよくないし、帰ろうか。」

「そ、そうね。それがいいと思うわ。アデル姉さんもレントをずっと待っていたと思うしね。」


数時間も見て回る事になると思うと、身構えてしまう。

だから、行かずに済むのならそれに越したことはない。

それと、アデラードさんの面倒なところをよく知っているからか、特に反対意見も出ることはなかった。


宿に帰るが、そこにはまだアデラードさんはいなかった。

しかし、代わりというわけではないだろうが宿にはアイリスさんがいた。


「あ、お邪魔してるっすよ。」

「ああ、よく来たね……っていうのも変だな。さっき会っていたばっかりだしな。」

「そっすね。」

「まあ、ゆっくりしていってよ。後でアデラードさんも来るけどさ。」

「あ、そうなんっすね。」


どうやら、アデラードさんに対して萎縮することはなくなったみたいだ。

まあ、実際に会うまでは分からないけど。


そして夕飯時となり、リナさんを連れたアデラードさんがやって来る。

ここからはいつも通りの展開。

宿の食堂で夕食を済ませ、部屋で軽く騒いで、アデラードさんが酒を飲み、そしてみんなも勧められたりして飲んだりする。

うん。

帰って来たって実感する。

いやまあ、こんなんで実感するのも変な話だけどさ。

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