第612話 何も出ませんよ? 的なお話

シア達と見張りを交代したが……眠いな。

3時だし仕方ないといえば仕方ないが……眠い。

3時だというのに、君達は元気だね〜……ふぁ〜。


「ねぇ、2人はさ、アカネちゃんのことどう思う?」

「ちょっと怪しい。」

「ですね。私もちょっとそうなのかな〜って思ってました。」

「でもちょっと変っていうか……特に行動を起こそうとしてないのが気になるんだよね。」

「ん。確かに。」


セフィア達が3人集まって話す内容といえば大体いつも同じで、今回も次の獲物を探しているんだろうけど………いや、獲物て。

多分次のターゲットがアカネなんだろうけど、流石にそれはないと思う。

アカネがそういう対象っていうのは違くて、ただ単に同郷ということで話しやすいとかそういうのだろう。

とにかく、アカネは巻き込まないように釘は刺しておかないとな。


「あー、そういう事を話すなとは言わないが、流石に仲間はやめてくれ。後で気まずくなっちまう。」

「「はーい。」」

「ん。」

「この話はまた後でね。」


全然わかってないや……。

もうどうにでもなれ。

せめて俺がいないところで話してくれるとありがたい。


「それじゃあさ、レントはアカネちゃんのことどう思っているの?」

「は? まだ続いてんの?」

「単純にどう思ってるのかな〜ってちょっと思っただけだよ。」

「どうって言われても、普通にいい友人だと思ってるけど? それに同郷って事もあって話しやすいし話題もこっちの事も向こうの事もあるから話してて楽しいしね。」

「ふーん。じゃあアカネちゃんも誘っていいよね?」

「いや、そういう事じゃないから。なんで毎回そういう風に持って行きたがるかなー?」

「いつも言ってる事もあるんだけど、どうせなら好きな人達と楽しい事を共有したいなぁって。今でも楽しいけど、もしもアカネちゃん達も一緒ならきっともっと楽しいんだろうっておもうんだよね。」

「セフィア……。」


その考え方は凄くうれ…………ん?

今、なんか変なこと言ってなかった?


「今、アカネちゃん、達って言った?」

「うん。言ったよ?」

「その達っていうのはリナさんとアイリスさんの事だよね?」

「ううん。ユウキちゃんとユキノちゃん。」

「……………ちょっと待って。」


あ、頭痛くなりそうなんだけど。

アカネっていうのは、まあ、100歩譲って分からなくはない。

残りの3人の中で1番気楽に話せる気がするし。

でも、蒼井は無いわー。

どう考えても蒼井だけは無いわー。

子供の頃から知ってるし、中学以降から疎遠になったとはいえ、家族ぐるみの付き合いとかも普通にあったから、なんていうか、親戚みたいな感じしか持てない。


「ひょっとしてユキノの胸を触った事を気にしてるのか? でもあれは防具を作るためであってやましい気持ちなんか無かったぞ。」

「分かってるよ。サイズが合わないと防具が動いたり揺れたりして動きにくいし、せっかく急所を護ってたのにズレて防げなかった、なんてなったら防具の意味がないからね。」

「じゃあ……」

「うん。だから、それとは関係なく、どうなのかなって。ユキノちゃんもかわいいよね?」

「かわいいというのには同意できるけど、かわいい=恋人にしたいってわけじゃないから。というか、それ以前に、少しは加減してほしい……いや、加減してください。」

「何を?」

「その、これ以上増えると、睡眠時間に支障が出るから、加減してほしいなぁ、って。まだアデラードさんとリナさんが控えてるのに何言ってるって思うかもだけど、これ以上は定員オーバーというか、既にギリギリというか……。」

「確かに、1日でそれなりの時間使っちゃってますよね。」

「うーん。そういう事なら、これからはもう少し考えて、ローテーションとか組むようにするよ。」

「本当か?」

「うん。それはそれとして、どうなの? ユキノちゃんやユウキちゃんは?」


話題を逸らせなかった……。

仕方ないか。

正直に話そう。


「蒼井はともかく、ユキノとアカネに関してはなんともいえない、かな。俺としては今の関係で十分だと思ってるけど、未来の事なんてどうなるか分からないから、今後はそういう関係にならないとも限らない。でも、そういう対象としては意識してないぞ。これは本当だ。」


今の同じ日本出身の仲間や同胞、同志って関係が心地いい。

だから、これ以上先の関係になりたいとは思わない。

そういうわけなんで、追及は勘弁してくれませんかね?

そんな不満そうな顔されても何も出ませんよ?


結局、見張りを終える6時まで色々と質問責めにあってしまった。

まだこれからダンジョン探索なのに、もう疲れちゃってるんだけど。

今すぐ休みたいな。

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