第573話 これはありがたい。的なお話
受付に買取金の受け取りをしに行くと、何故かギルマスの部屋に行くように言われた。
何か新しい情報でも出たのかな?
「ギルドマスター。天装の姫と紅玉の絆の皆さんを連れてきました。」
「入ってもらって。」
「失礼します。」
受付の人に連れられて再びやって来たギルマスの部屋では書類仕事をしているアデラードさんがいた。
というか、書類仕事をしている!?
あのアデラードさんが!?
いや、ギルマスなら当然するのだろうし、なんだかんだで凄く有能な人だからやってても不思議ではないんだけど……真面目に仕事をしているのを見ると、凄く違和感を感じてしまう。
「仕事しながらでごめんね。素材のオークションの為の仕事があってね。」
そういえばそんな話があったな。
「だから私は帰るのが少し遅れるけど、家の子達にはちゃんと伝えてあるから、家の設備は自由に使ってくれていいから。後、買取金についてだけど、流石に量がちょっと多かったから全部解体できなかったからそっちの方はまた後で取りに来て。で、取り敢えず解体の済んだ分がこれね。天装の方はブラストティガー、フレアレオ、タイラントグランドレックス、その他合わせて2065万2680リムね。レント達の方はレックス、リザードその他合わせて1286万3520リムね。で、これがその詳細だからちゃんと確認してね。」
うん。
これまたかなりの金額だこと。
レックスの皮と肉、そしてエレクトロブルの買取金無しでこの値段なのだ。
含んでいたら天装さん達のにかなり近くなってたろうな。
まあ、そんな事したらアカネが怒るからしないけど。
「じゃ、また後でね。」
「はい。」
ギルドマスターの部屋を後にし、そのまま街へと繰り出していく。
資金は潤沢、場所もタダ、料理人も腕がいいとくれば、凄く楽しみと思うのも仕方ないだろう。
女性ばっかなのは少々精神的疲労が溜まるだろうけど。
「レントさん。今回の件はお互いの戦力を考えて私達がランクの高い魔物を引き受けましたが、それは私達の独断です。貴方達は気にしてないと言っていましたが、それでは私達が納得できません。これで全てチャラになるとは思ってはいませんが、これはせめてものお詫びです。」
そう言って渡されたのは冷蔵用の魔道具。
中には魚がギッシリ。
「これはウェイリーノーラという店で購入しました。普通はそういうことは出来ないのですが、そこではフランベルが魚料理のレシピを伝授した縁で購入させてもらってます。この国は内陸国ですから海の魚はそう簡単に食べることは出来ないですから気にいると思います。」
あの時のはこの為だったのか。
でも、今日すでに魚料理……というか寿司を食べたんですけどね。
ま、あれは生だし別枠でいいか。
「ありがとうございます。あ、この魔道具は後でお返ししますね。」
「いえ、それも良ければどうぞ。差し上げますわ。」
「え? いや、でも結構高いんじゃ……。」
「いえ、今回の差額に比べたら大したことはありませんわ。」
「そういう事なら、ありがたく頂戴します。」
保存という意味ではストレージ以上の物はないだろうが、重要なのはこの魔道具は冷やすことができるという事だ。
これを使えば風呂上がりにキンキンに冷えた牛乳が飲めるというもの。
これはありがたい。
「それじゃ、買い物を始めますか。といっても、俺は料理は詳しくないんで、セフィア達に任せますけど。」
「それは私もですわ。というわけでフランベル。セフィアさん達と一緒によろしくお願いしますね。」
「はい。任せてください。」
「セフィア達もよろしくね。普段から任せっきりでごめんな。」
「ううん。僕達が好きでしてるんだし、それにレントはいつも僕達の武器の整備をしてくれるんだから、適材適所だよ。」
「そうか。」
押し付けてばっかりなのは心苦しいと思っていたが、こう言ってもらえてよかった。
適材適所なんて言っても、押し付けるのは違うからな。
押し付けて不満が出るかもしれないし、それでは適所にはなりえない。
こういうのはお互いの同意があってこそのものだからな。
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