第523話 川魚料理を頼むとするか。的なお話

「それでは、私はこれで。また明後日に会いましょう。」

「はい。ありがとうございました。」


ポーションを売ってる店を教えるという目的と、自身で買う物を買ったということでルキノさんと別れる。

何かお礼……お昼ご飯でもと少ししてから思い至ったが既にどこにいるかも分からず追えない。

なんだか申し訳ない気がするな〜。

ま、仕方ないか。


「さて、それじゃひとまずお昼でも食べますか。」

「もうそんな時間なんだ。ねぇ、どこにするの?」

「いや、特には決めてないけど、みんなは何か希望とかある?」

「あ、私はピザが食べたい!」

「急にどうした? というかなんでピザ?」

「いやー、ピザってさ、たまに無性に食べたくならない? それに日本じゃちょっと高いし。」

「蒼井はこう言ってるけど、みんなはどう? 問題ないならピザにするけど。」

「僕はそれでいいよ。」

「ん。問題ない。」

「特にこれといって食べたいってのはないし、それでいいわよ。」


他のみんなからも反対意見が出なかったので今日のお昼はピザとなった。

そういえば、ここ最近はあまりレイランの料理か愛妻弁当、もしくはギルドの酒場での食事だったからな。

久しぶりのピザを楽しみますか。


「うわー、混んでるなー。ま、お昼時だしね。」

「どうする? 他の店にする?」

「いや、ここで。もう頭ん中ピザになってるし。」


セフィアが聞いてきたがもう頭ん中がピザなのだ。

ここで諦めるなんて無理だ。

そりゃ、他の店でもあるかもだけど、そっちも人が多いかもしれない。

その分だけ遅くなるからだったら少し待った方がいい。

蒼井が暴走しても困るし。


「むむむ。ここは基本のマルゲリータか? でも生ハムあるしこのパルマっていうのも………それにこっちのチーズたっぷりピザってのも惹かれる……。」

「蒼井。そんなに悩むなら全部頼めよ。ストレージもアイテムボックスもあるし、みんなでシェアしてもいいんだからさ。」

「いいの!?」

「お、おう。みんなもいいよな?」

「まあ、いろんな種類が食べられるのは悪くないし、任せるわ。」

「だ、そうだ。」

「じゃあ、全部私が選ぶね?」


そういうや否やメニューにかじりつき食べたいものをピックアップしていく蒼井。

そんなに食べたかったのか。


「マルゲリータ2枚お持ちしました。残りも焼き上がり次第持ってきますね。」

「はーい。」


まずはマルゲリータ。

次に出てきたのがパルマとかいう生ハムが使われてる奴。

チーズたっぷりピザに燻製チーズに燻製ハムに燻製ベーコンという燻製尽くしピザにブロッコリー、トマト、タマネギ、コーン、バジルの野菜たっぷりピザ……と、次々に出てくる。


「おい。ちょっと頼みすぎじゃないか?」

「え? 全部頼んでいいって言ったのはあんたじゃない。だから食べたいものや興味があるのを片っ端から頼んだよ?」

「か、片っ端からか。そうか。」


これは、ストレージの出番だな。

蒼井が頼んだのは全部で10種類だった。

だったが、全員が一切れは食べられるようにという配慮なのか、全部2枚ずつ頼まれていた。

つまりは20枚だ。

10人いるとはいえ、流石に20枚全部は食べきることができなくて4枚分のピザが残った。

残ったのは小腹が空いた時用だな。


「合計で4880リムになります。」

「分かりました。」

「丁度ですね。ありがとうございました。またのご来店お待ちしております。」


会計を済ませて店を出たところで蒼井が口を開く。


「ふー。美味しかったー。」

「満足したか?」

「8割くらいかな。」

「食い足らないのならもっと食えよ……。」

「あ、そういう意味じゃなくて、日本ならエビとかイカとかサーモンとか使ったのあったじゃない。それがないから8割って言ったのよ。」

「……そういえばメニューにも載ってなかったな。まあ、仕方ないっちゃ仕方ないか。この国、海に面してないし。」

「じゃあ、次は海の近くの国に行こうよ。」

「いや、次も何も、まだ全然ダンジョンに挑んでないだろ。それにカインの家もあるしな。」

「ぶー。ケチー。」

「行かないとは言ってないだろ。その内な。」

「絶対だからね。」


その内とは言ったが、まだ納得してないようで、今度フランに会ったら海産物を頼もうかなとかブツブツ言ってる。

すまん、フラン。

使いっ走りみたいで気がひけるが次会ったら魚を頼むことになりそうだ。

とりあえず、今度セフィアに川魚料理を頼むとするか。

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