第458話 ニヤニヤしてる。的なお話

「おっ、終わったんだな。」

「終わりましたよ。でも、そわそわし過ぎでしょ。席立ってウロウロしてたし。」

「うっ、いや、だって、なぁ?」


まあ、気になるのも理解できるけどさ。

俺も本格的にプロポーズしようとしてた時はテンパって頭悩ませて全然落ち着かなかったからな。

本当は休憩したいんだが、仕方ないか。


「そ…「おいレント。お客さんだぞ。」


それじゃ始めますか?

と、言おうと思ったところでグラハムさんから客が来たって知らされる。


「レント、お弁当持ってきたよ。」


グラハムさんに案内されてきたのはセフィア、リリン、ルリエだった。

ルリエなんかは昨日1日中走り回って疲れてるだろうに、お弁当を作ってくれるなんて、嬉しい以外ありえない。


「ありがどう、3人とも。グラハムさん、どこか食べるのに適した場所ってありますか?」

「ん? それならあっちに食堂があるからそこで食えばいい。」

「分かりました。」


普段はどこか適当な店に食いにいってるからな。

そんなところがあるなんて知らなかったよ。


「じゃーん!」

「おおっ! 相変わらず美味そうだな。でもこれ、多くないか?」

「あ、それは私達の分もあるからです。」

「そうなんだ。」


どうやら今回のは4人分のようだ。


「リナさんのプレゼントはどんな感じ?」

「それならさっき出来たよ。ほらこれ。」

「わー。ここの草の模様凄いね。これもレントがやったんだよね?」

「ああ。といってもこのくらいの奴は普通に売ってるし。」

「そうかもだけど、やっぱり凄いよ!」

「そうですね〜。DEXが高いのもうなずけますよ。」


そういえばそんなのもあったね。


「それで鍛治師を勧められた。」

「あー、あったね〜。カインでステータスを測った時だよね。」

「なんですか、それ?」

「その時ルリエちゃんはいなかったもんね。えとね、最初の頃にステータスを測ろうって事になってその時にセラさんに言われたんだよ。」

「その時は自己鑑定のことを知らなかった。」

「あー、うん。その時はまだ知り合って間もなかったからね。」

「でも、なんか羨ましいです。私の知らない事がたくさんあって。」

「まあ、しょうがないよ。でもこれからは一緒に思い出を作れるんだしさ。」

「そうですよね。」


そんな事を話しながら食べているとあっという間に食べ終わってしまった。

楽しい時間はあっという間に過ぎるって言うよね。

でもこれはちょっと違うか。

まあ、楽しかったから食べていた時にかかった時間をあんまり感じなかったんだろう。


それよりも、さっきからチラチラ見えるアレは……


「あのさ、ところで、あの人って何? さっきからこっちを見てるんだけど……。」

「実はさっき、指輪の作り方を教えて欲しいって言われてな。なんでも今度プロポーズするとかでその時に贈る指輪を自作したいんだって。」

「え、そうなの!? へー。」


なんか興味がでたみたいだ。

なんなニヤニヤしてる。


「ちょっといいですか?」

「えっ!? お、俺!?」

「はい!」


おずおずとやって来るはトニーさん24歳独身。


「えっと、何の用かな?」

「今度プロポーズするんですよね!?」

「なっ!?」

「それで、プロポーズの言葉とかどこで言うかとかちゃんと決めました?」

「い、いや、それはまだだが……」

「多分もう向こうも察していると思うんであんまりもたつかないように練習したほうがいいですよ。」

「はぁ!? そんな馬鹿な!? だってそんな事一言も言ってないんだぞ!!」

「え、だってさっきからそわそわしてたりこっちの方チラチラ見てたから、多分彼女さんと一緒にいる時もそんな風になってるんじゃないかなって。レントもそうだったし。」

「え、いやまあ、そうなんだが、ここで言われるのはちょっと恥ずかしいんだけど……。」

「そうなのか……」

「だからもたついたりするとイライラしたりするって聞くから、ちゃんと練習したほうがいいかなって。」

「わ、分かった。ところで、レントはどうだったんだ?」

「嫁に拉致られてパーティーを行われた。」

「…………は?」

「サプライズをしようとしたら逆にやられて拉致られたんですよ。で、まあ、そのままプロポーズする事に。」

「俺はそうならないように頑張るよ。」


反面教師にされた。

うぅ。

恥ずかしい。

こうなったらちょい厳しめでおしえてやる。

八つ当たりだが、それくらいはしてもいいはずだ。

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