第452話 テントの設営しなきゃ。的なお話

「と、このまま駄弁ってるとエリーナに怒られるからそろそろテントの設営をしようか。」

「あ、そうですね。」

「それじゃ、天装の姫と黒狼の爪牙は警戒をよろしくね!」


エリーナさんには迷惑はかけられないし、頑張ろう。

昨日もやったし大体は分かるし、昨日よりも早く出来るはずだ。

えーと、このパーツはテントを支えるやつだな。


「レントさ〜ん。これ、どうすればいいんですか〜?」

「リナさん? …………えーと、何をしてるんですか?」

「取り出してたら足を滑らせて、気づけばこんなことに〜。」


どうすればいいのかと聞いてきたリナさんだけど、何故かロープとテントの布の部分でぐるぐる巻きになっていた。

というか、少し泣いてません?


「はぁ。じっとしててくださいね。」


周囲の様子、問題なし。

足元の確認、問題なし。


「じゃあ、今から外しますね。」

「お願いします〜。」


漫画とかだとここで人がぶつかってきたり、躓いたりして一緒に絡まったりするからな。

そんなラッキースケベは勘弁だ。

………ちょっと、興味はあるけど。

リナさん胸結構大きいし。

って、いかんいかん!

そんなこと考えたらいかん!

集中集中。

これがここと絡まってて、これはここから出てるから………

お、ここから布を外せるぞ。


「これで多少は隙間が出来る、はず。」

「んっ、ぷはっ!」

「なっ!?」


一気に布を剥ぎ取ったら、リナさんの服がずり上がって、おへそどころか下着まで見えてしまってる。


「ご、ごめんなさい!」

「え、きゃあっ!?」


慌てて服を戻そうとすると手に柔らかいものが触れる。

一緒に絡まるラッキースケベは無いけどこっちはあるのかよ!

なんかもう色々とやばい気がするけど、後はロープだけだし、頑張れ、俺の理性。

ロープの端っこがここだからこれを通していけば……あれ、ちょっとキツイぞ。

よいしょっと。


「あんっ。」


……………………。

何もいかがわしいことなんかしてません。

ただ、ちょっと強く引っ張ったら縄が食い込んじゃっただけだ。

ロープが胸を強調してるけど。

リリンには見せられないな。

最近少し大きくなってるけどまだまだウチのメンバーの中で一番小さいから。


それからも時折艶かしい声をお出しになり、その度に理性を削られたけど、なんとかロープを取り外す事が出来た。


「あの、ありがとう、ございました……」

「いや、あの、本当、手間取ってしまってすみません。」

「い、いえ、元はと言えば私が悪いんですから、そんな……でも、えと、そんなに、気になるなら、こ、今度、何かプレゼントして下さい!」

「えぇーーー!?」


俺には嫁さんがいるんだけど!?

けど、色々と申し訳ないと思っているのも事実だけどもさ!


「んーーーー……はぁ。分かりました。今度何かプレゼントしますよ。」

「本当ですか!?」

「え、えぇ。」

「ありがとうございます!!」


何故にここまで喜ぶのだろうか?

けど、ここまで期待されてる以上はちゃんとしたのを贈らないと。


「それでは、私は仕事に戻りますね♪」


なんか、最後に音符が付いてそうな程に声が弾んでたんだけど。

まあいいや。

俺もテントの設営に戻らな…………


「あの、アデラードさん?」

「はっ!? え、何?」

「何って、それはこっちのセリフなんですけど、なんでそんな所で覗いてるんですか?」

「べ、別に覗いてなんかないけど?」

「そうですね。全然隠れてないし覗いてるんじゃなくてガン見ですね。」

「ガンっ!? そそそ、そんな事ないよ? というか、こんな所で何破廉恥な事してるのさ!?」

「ただの人助けですけど、アデラードさんにはあれが破廉恥な事なんですね。随分とアブノーマルな趣味を持っているんですね?」

「ち、違、違うんだからーーーー!!!」

「……………。」


さて、テントの設営しなきゃ。


アデラードさんが戻ってきたのはそれから1時間経ってからの事で、既にテントの設営が済んでいた。

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