第429話 小さいには鋭い。的なお話

今日はどんなことをやるのかな?

なんて考えながらギルドに向かうが、どういうわけかアデラードさんがスタンバッていない。

いや、スタンバッている方がおかしいんだけどアデラードさんだからむしろスタンバッてない方がおかしい。


とりあえずリナさんの所に行ってみる。


「おはようございます、リナさん。」

「あ、レントさん。丁度いい所に。実はそろそろアレについて話そうかと思っていたんですよ。」

「アレ? …………あー、アレか! 確かにもう1週間くらいになってますね。」

「はい。なのでレントさん、セフィアさん、リリンさんはこちらに来て下さい。」


アカネ達はランク的に参加する側なので呼ばれない。

俺達が呼ばれるのは警備とかする事になっているからだ。


「よく来たね!」

「いつも言ってません、それ?」

「え、そう?」


うん。

なんだかんだでいつも言ってる。

ギルドに入った時とか訓練場に行った時とか。


「ま、いいや。それより早く座って。」

「あ、はい。」


個室の椅子を勧められる。

普段はアレだけどこうしてると偉い人に見えるな。

ちっさいけど。


「今、何を考えたのかな?」

「いえ、別に。」


そして小さいには鋭い。


「さて、何から話そうかな。」

「まずは日程ではないでしょうか?」

「そうだね。」


今回は初の試みという事もありエリーナさんも同席している。

後、リナさんとその先輩さん他数名の人が後ろの方に立っている。

だからちょっと手狭だ。


「日程は2日間で初日にEランク。2日目にCランクで予定してる。で、その前日にDランクの魔物をある程度間引きする事になっている。こっちには別の冒険者を手配してるからレント達は当日の2日間に参加してもらうから。」

「分かりました。」

「仕事内容だけど、確かセフィアとリリンは料理得意だよね?」

「え、はい。」

「ん。」

「だから2人には本部の警護兼調理をしてもらうかなって。」

「本部?」

「うん。不測の事態が起こらないとも限らないからね。現地に本部を設置する事になったんだよ。そこにはレント達を含めていくつかのパーティに警護を頼むからその連中の食事を用意してもらうよ。もちろんこっちでも調理担当の人員を出すけどね。でも、そっちにも戦える人がいた方がいいから2人にはそこに入ってもらうよ。」

「分かりました。引き受けます。」

「ん。」

「で、レントには本部の警護をお願いするよ。後、配給中の列の整理なんかもしてね。」

「整理、ですか………分かりました。2人を助ける事になりますしね。」

「そうだね。当日は私も監督として行くから多分大丈夫だと思うけど、人がたくさん集まるからね。大物が出てくるかもしれないから、そっちの対応策についても話そうか。」

「そうですね。」


それからも話を続ける。

この周辺に出てくる魔物の大まかな内容とその対処法、そして、出てくるかもしれない大物についての話。


魔物は基本的に奥まったところの方が強い。

理由としては基本的に魔物は全部奥の方に生息していた。

しかし、そこでの生存競争に敗れる事で弱い魔物は外の方、つまりは街道近くへと追いやられ、勝った方は奥の自然の魔力の強いところを縄張りにできる。

魔力の強いところの食料や水は美味しいらしく、それが魅力なんだとか。

そういう理由で奥の方が強い。

しかし、餌を求めて街道近くの方に来ないとも限らない。

何より人が集まるから必然的に目立つし騒がしくなり、興味を持たれないとも限らないから。

そして、ここら辺の大物はタイラントグランドレックスとかいうのがいるらしい。

レックス種の中でも膂力に優れたグランド。

それがいるとの事。

なんだろう?

フラグな気がしてならないのだが……


武器防具の強化、しといた方がいいかも。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る