第400話 今は閑古鳥的なお話
昨日はアデラードさんの飲み比べのせいで死屍累々といった光景だったけど、大丈夫かな?
業務が滞ってないといいんだけど。
そんなことを考えつつギルドの中に入ると………閑古鳥が鳴いていた、とはいかないが、かなりガランとしていた。
そういえば、閑古鳥ってかっこうなんだったっけ?
なんか、ラノベで親知らずの鳥は〜ってくだりがあった。
それはどうでもいいか。
クエストボードで依頼でも、と思っていたんだが、多くの冒険者が二日酔いで役に立たなくなってしまいました。なので、期日の近い依頼をギルドで指名させていただきますので、受付までお越しください。と、張り紙がしてある。
まあ、あの惨状じゃ仕方ないか。
後にギルドマスター酒乱事件とか言われたりするのかね?
そして受付に向かうが、こちらも仕方ないかもだけどいつもの犬人族の人、リナさんがいない。
めっちゃ酔ってたからね。
昨日はあの後いつぞやの先輩さんがギルドの宿舎に連れてってくれだけど、二日酔いの薬とか差し入れしたほうがよかったかな?
「おはようございます。依頼の受付ですか?」
「はい。」
「では、こちらの中から選んでください。」
そう言って見せられた依頼の一覧なんだが、ランクと見合ってないんだけど?
ぶっちゃけて言うならD、EどころかFまで混じっているのだ。
これって規定で受けられないはずなんだけど……
「あの、ランクと見合ってないんですけど……」
「それに関してですが、今回は動ける冒険者が少なく期日ギリギリの依頼を先にこなすべきとエリーナ様が判断され、特例で認めています。そしてこれらより上のランクの依頼ですが、そちらは既に他の動ける冒険者が受けてしまいましたので、低ランク依頼しか受けることはできなくなっています。」
「あ、そういうことですか。えと、じゃあ少し仲間と相談させてください。」
「分かりました。」
受付から少し離れてからみんなと向き合う。
受付前で話しちゃ他の人の迷惑だからね。
その他の人はほとんどいないけど。
「というわけなんだけど、どうする?」
「私としては、受けるのもやぶさかじゃない……というか、私は受けるべきだと思う。アデル義姉さんの後始末をしないと……」
「………な、なるほど。それじゃ、俺も受けよう、かな。きっかけは俺にもあると思うし。それに恋人を手伝うのは当たり前のことだしな。」
「あ、ありがと。」
「僕も構わないよ。雑用依頼なんてこういう時じゃないと受けられないから、久しぶりにやりたいかな。」
「アレクシアが受けるというのならば、私も受けよう。」
「私もやる。懐かしい。」
「半数以上がやるという考えみたいだし、やるってことでいいか?」
みんなから否定の言葉は出ない、な。
となれば、次はどんな依頼をやるかだな。
ざっと見せられたものでも10をゆうに超えてた。
そして今は閑古鳥が鳴いている。
この後も他の冒険者が来るかもしれないし、来ないかもしれない。
そして依頼を出しているということは何かしらの望みがあったり困ったりしている人がいるということだ。
こんな状況になったのは俺にも責任があると思うし出来る限り受けた方がいいかな。
リナさんは俺を待ってた結果ああなったみたいだし。
「それじゃ、効率も考えて3チームに分けようか。いつも通り俺、セフィア、リリン、ルリエのチームにシア、ルナ、ユキノのチームにアカネ、レイダさん、蒼井でいいかな?」
「待って! 私も、その、レントと一緒がいいんだけど……」
「わ、私も…」
「残念だけど、僕達もレントと一緒がいいんだ。だからごめんね。ここで譲るわけにはいかないんだ。」
「ん。」
「そうですよ。」
「となれば当然…」
「うん。勝負だよ。誰がレントと一緒に依頼を受けるのかのね。言っておくけど、僕は負けるつもりないから。」
普段のセフィアならいいよとか言って譲りそうなんだけど……まあ、俺としては一緒がいいって言ってくれるのは嬉しい限りなんだけどさ。
そして始まったのはトランプを使ったスピード対決。
どうやらチーム戦のようで、勝ったチームが俺と組めるらしい。
そしてバランスが悪いとかでユキノが付き合わされることになった。
ごめんね、巻き込んじゃって。
「えと、それじゃ私達は先に依頼を受けて来るわね。レイダの望みで多分討伐系が多くなりそうだけど、そこのところはよろしくね。」
巻き込まれるわけにはいかないと言わんばかりにアカネ達はさっさと立ち去ってしまった。
ユキノが自分も後を追いたい、みたいな表情をしている。
そして遂にスピード対決が始まるわけなのだが、既に勝敗は見えてる気がする。
パーティ入りしてから知ったというユキノがハンデとなっているし、リリンの速さに勝てる人がいるとも思えない。
エルナもどちらかというとのんびりした子だからね。
まあ、俺としてはどっちが勝ってもいいし、のんびりと勝負の流れでも眺めてようかね。
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