第371話 差、あり過ぎ的なお話
馬鹿どもをボス部屋に放り込んだ翌日から地上目指した。
その間にチャラ男と会うこともミミックと遭遇することも神の眷属がふらっと現れることもなく地上に到達した。
ちなみにその間俺はずっと荷物持ちだった………………俺、冒険者だよね?
「眩しいね〜。」
「ん。」
「そうだな。」
まあ、ずっと薄暗いところに居たんだから瞳孔が開いてて光を多く取り込んで眩しく感じる………なんて事は言わないほうがいいよな。
雰囲気台無しになるし。
「えーと、今は1時47分か。結構早いな。」
「帰りは特に問題はなかったのだから当然といえば当然だけどね。」
シアの言う通り本当に問題はなかったよ。
というか、何もなかった…………出番とか、仕事とか、武器を振る事とか……
「これからギルドに行くのよね?」
「ああ。帰還報告もしないとだし、ボスからのドロップアイテムがいっぱいあるから買取してもらわないとだしな。」
「どれくらいになるか楽しみね。帰還結晶も買い直さないといけないし。」
「そうだな。リリンのアレがあるとは言え、分断されたら意味ないし対策しておくに越した事はないからな。」
そんな事を話しつつギルドに向かい、受付まで行った。
例の犬人族の受付嬢のところだ。
「あ、おかえりなさい!」
「あ、ああ。ただいま。」
乗り出してまで言うことか?
というか、意外とおおき……いや、これ以上考えちゃいけない。
「えと、それでまずは依頼のセミの抜け殻ですね。」
何言ってんだ、俺。
依頼のセミの抜け殻って……自分で言ってて笑いそうになったよ。
「次が魔石です。」
「はい。こちらもちゃんと規定数ありますね。」
「で、最後に買取をお願いします。」
そうして魔石とドロップアイテムを出していく。
最初は普通にニコニコしていたがバーミさんのドロップアイテムを次々と出していくと次第に表情が驚きに染まっていく。
やっぱり狩りすぎたか。
30を超えたあたりから数えてないけど。
「………あの、トライデントボア・バーミリオンばかり倒しすぎじゃないですか? 一体いくつ出すんですか?」
「さあ? 途中から面倒くなって数えてないんで。」
更に出していった結果、合計で57個のドロップアイテムがあった。
でも、落とさない事もあったから………考えるのはよそう。
かわいそうになってきたし。
「あの、トライデントボア・バーミリオンに何か恨みでもあるんですか? 悩んでるのなら、頼りないかもですが、私が聞きますよ?」
「………いや、そんな理由は無いです。というか、新技開発してたらいつの間にかこんなことになっただけです。」
「最初のとはいえ、ボスを実験台にするって……」
あ、ちょっと引いてる。
でも、一対一で戦えて周りに被害は出ないし敵は強くないという好条件なんだもの。
仕方ないよ。
という事を説明すると呆れられた。
それも、仕方ないな。
「えと、まあ、理由はわかりました。それでは査定をしますので少々お時間をください。」
「わかりました。」
その少々を待った後査定の結果が出ました。
セミの抜け殻が1000リム、魔石が3000リム、そしてバーミさん以外の買取が2万4600リム。
そしてバーミさんの買取が26万リム。
………差、あり過ぎ。
本当にごめんね、バーミさん。
「それじゃ、俺達はこれで。」
「はい。次の通常依頼、期待してますよ。」
「あはは……はい。わかりました。」
もうちょい魔法やら新技やらの練習がしたかったんだけど……依頼、受けるか。
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