第363話 まさかの天丼的なお話
フランもいなくなったし、探索を再開……とはいかなかった。
「そういえば、先ほどレント達が最初だと言っていたが、ということは何かスキルを手に入れたということではないだろうか?」
やっぱり聞かれたか……
以前信頼してると言ったのにここで秘密にするのはなぁ〜。
でも内容が内容だからな。
うーん。
信じると言ったんだから話すべきか。
となれば、先ずは……
「リリン、周りに人の気配は?」
「……ない。」
「そうか。」
周りに人はいないそうだが、念のためアリシアさんから貰った魔道具を使う。
「何をしておるのだ?」
「これは認識阻害と中の音を外に漏らさない効果があるんだ。これから話すことは誰かに聞かれるわけにはいかないからな。」
他人に手札を曝すのはあまり良くないからではない。
この事が知られれば冒険者どころか国すら出張ってくる可能性があるからだ。
「シアとルナ、それからユキノにはこれから話すことは他言無用で頼む。もしも誰にも話さないという自信がないのであれば、今すぐ魔道具の範囲外に出てくれ。」
「そこまでのことなのか?」
「ああ。そこまでのことだ。」
さて、どう出るかな?
まあ、シアとルナは大丈夫だろう。
というか、この忠告はユキノに向けて言っているようなものなんだけどね。
「私は聞くわ。」
「私も。」
ほらね。
アリシアさんの加護とかもあって既に秘密を知ってるのだ。
今更一つ増えたところで大差ないだろう。
「私は……私も聞きたい。そもそも言い出したのは私だしな。」
「そうか……じゃあ、言うぞ。」
「ごくり……」
「おい、蒼井。なぜこの場面で口でごくりと言った?」
「いやぁ〜、ここはそういう効果音が入る場面かなって。」
「本ならな。でもここは現実だから。ほら見てみろ。3人がなんともいえない顔をしてるぞ。」
「あ、ほんとだ。」
いざ本題という時に余計な茶々が入ったらそんな顔にもなるよ。
「全く……じゃあ言うぞ。」
「ごくり……」
「それはもういいから!」
まさかの天丼だった。
「はぁ〜。ったく。今度こそ言うぞ。ウチでスキルを得たのがリリンだ。そんで手に入れたスキルが転移魔法だ。」
「「「転移魔法!?」」」
「それって、物語とかに出てくる、あの?」
「まあ、な。ユニークだそうだ。」
ちなみにスキルの等級だが上からレジェンド、ユニーク、レア、ノーマルが基本だな。
それ以外にも神様が介入してないと手に入らない特殊上位互換とか、読んで字のごとく、使える種族が限られている種族固有スキル、珍しいけど使い勝手が悪い、使う場所を選ぶ微ユニークとかがある。
「ユニークだと!?」
「そ。まあ、そんなわけでこんな大仰になったわけだな。もしもこの事が知られたら、貴族はもとより国すら出てくるかもしれない。だから、この事は絶対に他言無用で頼む。」
「確かに、好戦的な国に知られれば戦争の火種になる。いや、好戦的でなくても確保しようと動く可能性は十分にあるか。」
そう。
もしも転移魔法の使い手が1人でもいれば奇襲し放題になる。
物資の輸送も楽になるので戦争に駆り出すためにどんな手を使っても確保しようとするかもしれない。
そんなの、許せるわけがない。
最悪アリシアさんに天罰下してもらおう。
「こんな事……言えるわけないわね。」
「う、うん。」
「理解してくれて何よりだ。じゃあ、そろそろ探索を再開するぞ。」
魔道具を回収してから探索を再開した。
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