第349話 ドウシテコウナッタ。的なお話

ドウシテコウナッタ。


「つまり小僧はダンジョンメインの冒険者は冒険者じゃないと言うんだな?」

「それ言ったのは俺じゃないですってば!」


本当に、ドウシテコウナッタ。


「俺たちもそう思うってんだよ! でもさ、ここは迷宮都市だからだーれも通常依頼を受けやがらねぇんだ。どうしたらいいと思う?」


俺達は今、ゴツイ人達と酒場スペースにいる。

なんで!?


「ちょっと、思いつかないですねー。」


何故か絡んで来たゴツイ人達が酒場スペースへと誘導してきてそのまま飲み始めた。

テンプレイベントかと思えばこれだよ。

本当に訳が分からない。

ここはアレじゃないの?

いい女連れてんじゃねぇーかとか、生意気なこと言ってんじゃねぇぞ小僧! とか言って決闘イベント突入じゃないの?

と、ここでゴツイ人達の仲間っぽい人達が合流した。


「ここにいたのかカルロ。」

「おぅ。まともなこと言ってた奴がいてよ。今ちょっと話してたんだよ。」

「ほぅ。あんた、名前は?」

「れ、蓮斗です。」

「レントっつーのか。私はカルラってんだ。この馬鹿の姉だ。」

「馬鹿はひでぇな。あ、俺はカルロってんだ。よろしくな。」

「はぁ…」


そこから始まる自己紹介。

最初に絡んできたゴツイ3人の人達がカルロ、コーマー、デビットだそうだ。

で、後から合流してきた4人がカルラ、アルノ、キュレア、ラピス。

最初の3人とアルノが男でカルラ、キュレア、ラピスが女。

この7人で堅牢の斧というブロンズランクパーティだそうだ。

このブロンズランクというのは許可証のランク。

俺達はまだ最初のグラス。

シアとルナ、ユキノがウッド。

そこからアイアン、ブロンズ、カッパー、シルバー、ゴールド、プラチナ、ミスリルとなる。

後、ギルドが特別に認めたパーティにのみ与えられるオリハルコンとかあるらしい。


「で、何を話してたんだ、カルロ。」

「ここの冒険者は通常依頼を受けねぇ。そんなのは冒険者じゃねぇって話だ。」

「なるほど。確かにまともだな。」

「だろぉ。」


だからそれは俺が言ったんじゃないのに……。


「私らもダンジョンから帰ったら何回か通常依頼を受けるようにしてるんだけど、なかなか減らないんだよな。」

「なんで通常依頼を受けるようにしてるんですか?」

「それは「それは地上戦の訓練を兼ねてるからだ。」…ちょっ、台詞とんなよな、アネキ。」

「別にいいだろ。減るもんじゃないし。」

「俺のセリフが減ってんだろ!」

「あ? なんだって?」

「いえ、ナンデモナイデス。」


あ、力関係がわかった。

というか、こんなゴツイなりしてるのに随分とまともだ。

勘違いして申し訳ないな。


「その表情、見た目と違ってまともだとか思ったろ。」

「えっ!? いや、そんなことは……」

「隠すな隠すな。こいつは昔っからガタイだけはいいからな。誤解されんのには慣れてるさ。」

「それ、本人が言うことだと思うんだが。」

「あはは。細かいこと気にすんなよ。ハゲるぞ。」

「まだ22だ。ハゲてたまるか!」

「あはは。」


姉弟仲はいいみたいだな。

というか、まだ22かよ!

てっきり三十路超えてると思ったよ。

あ、でもカルラさんは20代前半っぽいしそう考えたら分かるか。



「そうかそうか! お前らみんなレントの恋人なのか。すごいじゃないか!あっはっはっはっは!」


話が進み、酒も進めば、酔いも回るというものだ。

俺達はいつも通り禁酒してるけど。

冒険者なんてみんなケダモノだ。

嫁達をそんな奴らに狙わせてなるものか!


「しっかし、それに比べてウチの馬鹿は全然でな。こいつは未だに彼女が居たことねぇんだよ。」

「うるっせえよ! そういう自分だって居たことねぇだろ!」

「言ったな。今、言ってはいけねぇことを言ったな。」

「あ……」

「くたばれクソカルローーーー!!!」

「うおわぁーーー!!」


恋人いないと言われてカルラさんがキレた。

というか、怖い。


「あーあ。やっちゃったねぇ。カルラって見た目はいいんだけど、あのキレやすさの所為で敬遠されてんのよねぇ。あれがなければモテたのにねぇ〜。あ、私はラピス。サキュバスよ。」

「あ、どうも。レントです。」

「ふーん。確かに上質な魔力に精力をしてるみたいねぇ。ジュルリ。」

「ちょっ!?」

「ストーーーーップ!!!! 流石にそれは駄目だよ!!」

「あはは。冗談よ冗談。セフィアちゃん可愛いわねぇ〜。」


サキュバス怖い。

セフィアガードのお陰で事なきを得たが、ルナがまともでよかったと心からそう思ったよ。

いや、あんなルナも偶になら良いかも。

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