第347話 嘘ついてごめんなさい。的なお話

お昼ご飯ということで前に行った川のほとりに向かう。

ユキノ達は病み上がりだし仕事も終えたしここでのんびりピクニック気分というのもありかな〜。

前は釣りが出来なかったし。


「5人は肉とか食べれる?」

「む、問題ないが何故今更それを聞くのだ?」

「いや、病み上がりだし胃に優しい物の方がいいのかなって思って。」

「問題ないだろう。皆すでに治っているのだから。」

「分かった。じゃあ、セフィア。これらを使って鍋にしよう。ユキノが仲間になった記念にさ。」

「え、ここで? お祝いなら街に戻ってからでもよくない?」

「うーん。じゃあ街でもやろう。それにお祝いなら何回やってもいいんじゃない?」

「そうだね。分かった。うーん。じゃあ、ネギとしいたけと……」


さっき出した獣達をセフィアが眺めながら材料を考えそれを伝えて来る。

俺はそれらをストレージから出していく。

他には鍋に薪に包丁でしょ、まな板に……


「なっ!? ど、どんだけ入るのだ!?」

「はい?」

「はい? ではない! なんなのだその馬鹿げた容量は!?」


なんかユキノが驚きをあらわにしながら問いただして来る。

そういえば、ユキノもアイテムボックスを使えたっけ。

ストレージの方には制限なんてないけどアイテムボックスの方は確か重量に制限があったはず。

えーと、MP×10kgだっけ。

確かにクマ、鹿、猪とか普通に入ってる上にそこから沢山の野菜やら薪やらなんやらが出てくれば驚きもするか。

まあ、まだまだいっぱい入ってるんだけどね。


しかし、どうしたものか。

ユキノはパーティメンバーだけど、アリシアさんやら異世界人やらはまだ言うべきではないだろう。

レイダさんは奴隷で知ったら解放されないと聞いても構わないと言ってくれた。

その時点で裏切ることはないと信じることにした。

アカネは転生者だし蒼井だって俺と同じ異世界人だ。

セフィアもリリンもルリエは俺の嫁だ。

シアとルナも既に恋人でそういうことを知ってるということは別れる気がないということになる。

だけど、ユキノは違う。

言い方は悪いが、ユキノは俺とはなんのつながりもない。

これからもっと仲良くなるはずだったのだ。

果たしてどの程度話していいものだろうか………

うーん。

少し心苦しいが……


「あーと、これは俺のユニークスキルでな、容量とかは特にない、かな。ただこれはかなり特殊だから黙っててくれよ。商人が喉から手が出る能力だと思うからもしバレたら大変なことになると思うんだよ。それこそ、みんなを人質にとっていうこと聞かそうとしたり、な。」

「む。確かに、その可能性はあるな。分かった。黙っていよう。しかしいいのか? まだ仲間になったばかりの私にそんな事を言って。ただ単に魔力量が多いといえば済むだけだろうに。」


…………………………あ。

言われてみればそうだ。

でも、今更気づかなかったなんて言えるか!

このまま通すしかない!


「いや、こっちはこっちでユキノの人柄とかある程度知ることができたから、言いふらしたりしないと思ったんだよ。」

「フッ。そうか。なら、その期待に応えさせてもらおうか。」


信じるとか言ってるのに嘘ついてごめんなさい。

期待に応えるとか言われてるのに騙しちゃって本当にごめんなさい!

でも、そう簡単に言えることじゃないんです!


そうこうしている間もセフィア達は料理を進めており、あっという間に出来上がった。

心苦しさがあるが言うわけにはいかないので黙りつつ鍋をいただく。


鍋は美味しかったです。

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