第327話 塞がっていた。的なお話

セフィアのナビゲーションの元に地上に向けて行軍している。

リリンには既にシア達にオークと戦ってもらうという事は伝えてある。

事情も説明してあるので戦う事に納得してくれてる。

エルナには伝える事ができなかったのが悔やまれる。

もしもオークと接敵した際に発狂しないとも限らないのに。

気をつけよう。


「うっ! 臭っ!」


忘れてた。

盗賊共、縛ったままだったわ。

その事を忘れて放置してしまったせいで、こいつらは全員………漏らしてた。

とりあえずルリエにデオドラントを使ってもらって消臭し、かなり伸ばしたロープで引っ張りながら移動をする。

…………放っておいちゃダメかな?

なんかもう、凄くめんどくさいんだけど。

いっその事全身縛って階層を超える階段の前に置いてこようかな?

別に捕らえた功績とかいらんし。

うん。そうしよう。

それで死んでも迷賊なんかしてたこいつらが悪いって事だし、それに階層を跨いで攻略しようとする冒険者もいるだろうし多分大丈夫だろう。

重要なのはこいつらの命じゃなくて、俺らの命だ。

………それにしても、随分と命を軽く見るようになってしまったな。

だいぶ馴染んだって事なんだろうけどやっぱり、もう戻れないんだろうな。

別に今の生活に不満があるわけじゃない。

むしろ好きな人と楽しく毎日を過ごせる分だけ充実してると言える。

けど、少しだけ寂しさがあるな。

そして多少の戦闘があったりしたが無事に階段前の広場に出た。

あ、オークは出なかったよ。


「それじゃ、こいつらはここに置いて行くか。」

「え? 連れてかないの?」

「連行するのがここまで面倒だとは思わなかったんだ。こいつら隙をついて逃げようと動こうとして移動速度が遅れるし、戦闘になれば足手纏いで邪魔な事この上ない。大事なのはこいつらの命じゃなくて、俺達の命だ。しかもシア達はあんな事があったばかりなんだ。不確定要素を連れていって何かあったら困るからね。」

「そうだね。分かった。置いていこう。それにここなら死ぬ確率も低いよね。レントもそう思ってここで置いてこようって言ったんだよね。」

「まあ、な。」


というわけで迷賊達を階段前に置いて七階層に向かった。

ちなみに、俺とアカネが空けた穴は塞がっていた。

天井に届くわけではないから使えるわけないのだが、なんか残念。


七階層に上がってすぐに魔物と遭遇する。

こいつもオークではなくコボルトだったけど。

そしてそんな雑魚はリリンの敵ではない。

シュパッ! ザンッ! スタッ! って感じであっさりと終わって、俺に魔石を渡してくる。


「そういえば、あの時のオークの魔石っていくつだった?」

「いくつだっけ?」

「えーと、確か267だったかな? 風見ってばオークキングの魔石すらも拾わずにアレクシアさん達の所に行くんだもの。集めるのが大変だったんだからね。」

「そ、そうか。それは済まなかったな。」


あの時は2人の事が心配でそれどころではなかったんだよ。


「それじゃ、ドロップアイテムは?」

「えーと、大量の豚肉とオークの皮にボロい剣に、後はオークキングが大きな剣を落としたよ。」

「そうか。肉以外全部売りかな? 皮なんて使いたくないだろ?」

「確かに嫌かも。」

「それに剣に関しても、今使ってるのより良いのなんてそうそうないだろうし。」


ちょっとした雑談も交えつつ進んでいるとリリンが新たな魔物の気配を察知する。

そして、対面した魔物というのがオークだった。

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